タイムラインの考え方を確立させたハリケーンカトリーナ 防災ニュース

2021年8月11日

8月11日 日本周辺(東経180度より西の北西太平洋および南シナ海)にやってくる熱帯低気圧は、威力を増して一定の風速になると「台風(タイフーン)」と呼ばれます。同様に、北大西洋、カリブ海、メキシコ湾および西経180度より東の北太平洋東部だと「ハリケーン」、ベンガル湾、北インド洋だと「サイクロン」と呼ばれます。

ハリケーンの中で最大級の被害をもたらしたのが2005年に発生したハリケーン・カトリーナです。ハリケーン・カトリーナは、8月25日にアメリカのフロリダ半島に上陸し、横断してメキシコ湾に抜け、勢力を増して29日にニューオリンズ付近に再上陸しました。

ハリケーンの勢力を数えるカテゴリーでいうと最大のカテゴリー5、最大風速78mm/s、最大瞬間風速約90m/s、最低気圧902hPa、8月24日から9月1日までの総雨量は最大417mm、高潮はニューオリンズ東側の海岸地域で6m~9m以上となりました。死者・行方不明者の数は1800人を超え、浸水家屋約16万戸、浸水面積約380km2に及びました。ニューオリンズ市は、市の陸域の80%が水没する壊滅的な被害となりました。これは、日本で最大の規模だった伊勢湾台風と同程度とされます。

このハリケーン・カトリーナの甚大な被害を教訓に策定されるようになったのがタイムラインです。タイムライン(防災行動計画)は、災害が発生したときの状況を時系列に整理し、誰がどのような対応を行うかを整理したものです。防災関連の対応を行う各機関や部署が、十分な力を発揮して連携していけるよう、「いつ」「誰が」「何を」するのかを明らかにし、一覧表にしておきます。このタイムラインを策定していたことで、7年後に襲ったハリケーン・サンディの際には、被害を最小限に抑えることができました。

近年は、気温や海水温の上昇などの影響もあり、日本にやってくる台風が威力を増したまま上陸する「スーパー台風」など、ハリケーンなみの規模のものもみられるようになっています。地震災害と異なり、気象災害は予測することができます。台風情報は、5日前から予報が発表されます。これからの台風シーズン、それぞれの部署がどのタイミングで何をするか、いざというときにどう動くかなどを時系列に整理したタイムラインをつくって備えておきましょう。

画像提供:国土交通省中部地方整備局・日本水フォーラム シンポジウム 伊勢湾台風とハリケーン・カトリーナに学ぶ

 

防災ログ事務局:南部優子


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