② 進行型の災害に係る発災前の情報強化と課題災害には、地震のように突発的に発生し同時に被害を及ぼす突発型の災害と台風など発生から被害を及ぼすまでの進路や到達時間がある程度予測することができ、徐々に影響や被害を及ぼすことへの対処が可能な進行型の災害の2つがあります。進行型の場合、被害が発生する前に、避難の呼びかけなどの対策を行うことができることから、発災前の準備といかに行動につなげるのかが重要となります。近年の大規模風水害の頻発により、発災前の情報発信や住民への防災教育などの対策強化が進みつつあります。① ハザードマップの充実災害による被害を受ける可能性の高い地域は、地震を含め過去の被害情報、地形や地質などから、その危険度を地域(場所)として予測することができます。被害地域を地図上にまとめたものがハザードマップであり、多くの自治体等で公表されています。ハザードマップには、浸水(洪水、津波、高潮など)、土砂災害、火山など、様々なものがあり、避難経路や避難場所を示したものあります。現在、Web上の地図で表示したり、スマートフォンの位置情報と連動して表示されるものなど、様々な形で住民に向けた情報提供がされています。このように近年ハザードマップによる危険箇所等の情報の提供が充実したことで、災害前から災害時の危険を回避する避難行動などの備えができるようになりました。また、ハザードマップポータルサイト(https://disaportal.gsi.go.jp/)に、関連情報や市町村の公開するハザードマップへのリンク等がまとめられています。平成30年7月豪雨では、浸水が想定される地域を示したハザードマップがあったものの、その地域に居る要支援者など早い段階で避難行動に移すための仕組みが無く、避難行動に至らず多数の犠牲者を出した災害となりました。その後の検証※から、住民の避難行動やハザードマップの認知度や危険を伴う夜間の避難勧告など課題が指摘され、警戒レベルに応じ、避難が困難な高齢者などを避難が可能な段階で避難を開始する5段階の警報(図2-2)が策定される一因となりました。翌年の令和元年房総半島台風では、倒木等により電力・通信ケーブルが切断され、長時間の停電や通信の途絶が多数発生、通信の被害地域の把握や、災害時の非常通信手段の一部が利用されなかったことが課題となり被害地域の地図表示や非常通信手段の確保などの対策が示されました。このように、発災前から災害に対する情報が充実する中で、危険な場所や避難や身を守る行動を予め住民が把握し、警報などの情報伝達による対策や避難行動に十分につなげることへの対策強化が課題となっています。また、進行型の災害には、火山や雪害、遠地地震などによる津波等、様々な災害があり、被害想定に応じた地域毎の対策が必要になります。なお、火山防災においも、噴火予知連絡会が選定した活火山も5段階の噴火警戒レベルを示し、入山規制や避難情報の発表がされています。(2)風水害などの進行型の災害対策の強化※ 出典:平成30年7月豪雨を踏まえた水害・土砂災害からの避難の有り方について(報告)【参考資料】よりhttps://www.bousai.go.jp/fusuigai/suigai_dosyaworking/pdf/dai2kai/sankosiryo3.pdf災害に強い情報通信ネットワーク導入ガイドブック2024図2-2 5段階の警戒レベル 出典:内閣府(防災担当)ホームページよりhttps://www.nict.go.jp/resil/committees/lde9n2000001gi3v-att/Guidebook_2024.pdf
元のページ ../index.html#14