図3-8 災害において利用が想定される様々な通信システムとネットワークの一例(1) 情報通信システムの多様化(3)災害対応業務と業務継続計画前節では、情報通信システムの考え方の柱となる6つの重要な要素と、災害時の膨大な業務量について抜粋しました。災害対応業務においては、住民の生命財産の確保の視点で平時より行う業務と、発災と同時に起こる膨大な業務への対応と、自らの被害の復旧が同時に進行することになります。行政事務全般に情報通信システムの活用が広がる中で、災害対応業務と業務継続の2つの観点から捉える必要が出てきています。また、クラウド化により、重要な行政データをバックアップする側面は強化されましたが、災害時に情報通信システムが停止した際、必要なデータを取り出すことは、通話を前提とした現状の通信の確保では難しい側面もあり、新たな課題とも考えられます。自治体の情報通信システムには、電話やFAX、インターネットなどの通信事業者のネットワークを利用するもののほか、国や県などが運営するネットワーク、自ら構築したネットワークなど、さまざまなポリシーの異なるネットワークに接続されたさまざまな情報通信システムが利用されています。図3-8は、災害で利用するシステムを主眼に自治体が利用するさまざまな情報通信システムとネットワークを例示したものです。災害により情報通信システムが使えなくなるリスクを考慮して、災害に強い情報通信システムを構築するには、分類と優先付けが必要になってきます。IP電話(通信事業者)基地局支所河川罹災証明書等の発給被害情報(写真・映像)イン ターネ ット(通信事業者)安否 確認・ 参集① 災害 や気象 に関す る情報 の収集② 住民 の避難 やハザ ードマ ップな ど③ 警報 や避難 情報の 発信④ 国や 災害関 係機関 との連 携や支 援⑤ 災害 対策本 部の準 備・開 設(優 先電話 、関係 機関と の接続 )⑥ 避難 所や出 先機関 との連 絡手段 等避難 者の確 認物資 の管理専用線(通 信事業 者 or 自営 回線)行政情報LGWAN広報車警察消防/消防団災害に強い情報通信ネットワーク導入ガイドブック2024① 庁舎 内のPCなど の端末 、行政LANなど の基幹 システ ム② 電話 や内線PB X③ イン ターネ ット(HP、Web会議 )④ 職員 の安否 確認スマ ートフ ォン避難 情報セン サー、 カメラ④復旧段階(1 週間~ )行政事務系の情報システム携帯電話(4G,5G)(通 信事業 者)被災地等(72時間 )個別 受信機③応急段階(~ 1週間 )発災 前トラ ンシー バ災害対応業務(災害関連情報の提供、警報や避難対応 等)無線通信(自営系)(防災行政無線・トランシーバ)都道府県病院発災後の業務継続対応(業務継続計画(BCP) 等)衛星通信(通 信事業 者)都道府県WAN地域WAN市役所防災行政無線住宅地①平時【ポリシーや管理権限の異なるネットワーク】防災・災害系の情報システム【利用者】防災行政無線避難所②初動段階発災図3-7 災害対応業務と業務継続計画で優先する業務4.情報通信システムの多様化への対応
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