災害における情報通信システムの分類と優先付けを検討する際、業務で活用する利用者とシステムの障害などに対応する管理者に役割が分かれていることも多くあります。災害における情報通信システムの構築や復旧の優先付けを考える際に、業務の優先性に加えてシステムの管理面の視点も必要になります。特に外部の専門業者や他の自治体の復旧支援を受ける場合、ネットワークの管理やポリシーに係る情報が事前に準備できていないことにより、支援者の復旧作業ができないことがあります。こうした管理者や専門の業者の連絡先など、あらかじめリスト化を行い支援に来た第三者が対応できるように復旧手順を明確にしておく必要もあります。情報通信システムの分類のための調査例(表3-2)を記載します。自治体の行政システムのDX化が進む中で、これまでの災害時の連絡手段としての通信の確保に加えて、通信途絶などによるシステムの停止などのリスクに対して業務継続性の観点から事前に業務継続計画(BCP)を定め、検証することは極めて重要です。特に災害時や復旧・復興過程に必要なシステムの稼働の継続や早急な復旧について、発災からの対応を明確に想定する必要があります。(2)情報通信システムの分類5.自治体の情報システムに関する業務継続計画※ その システ ムがど んなネ ットワ ークを 利用し ている のか、 電源・ 通信の 不通の 際の手 順や復 旧の優先 性を把 握する ための リスト の例で す。システム管理担当 〇〇〇 課システム管理担当 〇〇〇 課表3-2 ネットワークの構造の把握のための調査例利用する情報通信ネットワーク(受信)① 行政端末(庁舎内LAN)、② 庁舎内放送、① 防災行政無線(同報系)② 〇〇市役所ホームページ① インターネット(通信事業者) 報道機関、(通信事業者)① 防災行政無線(移動系)260MHz帯利用する情報通信ネットワーク(受信)利用者までの発信手段等自営無線(音声)インターネット(通信事業者)エリアメール(通信事業者)260MHz帯(発信手段)① 行政端末(庁舎内LAN)② インターネット(通信事業者)③ クラウド(アプリ等)④ 冊子・チラシ① インターネット(通信事業者)アプリ利用① 内線(PBX)→ 通信事業者(IP網)利用者職員(防災担当)住民、旅行者周辺自治体、職員(防災担当)防災関係機関利用者住民、旅行者住民、旅行者職員(防災担当)防災関係機関分類システム名災害情報(警報)全国瞬時警報システム(Jアラート)〃〃〃〃〃〃〃災害情報(データ)Lアラート 警報、避難所の開設、市町村からのお知らせ防災行政無線(移動系)連絡手段分類システム名〇〇市役所ホームページ(災害情報)災害情報(データ)〇〇市防災アプリ(災害情報)連絡手段電話(優先電話)取り扱う主な情報警報、避難情報、災害発生、国民に緊急に伝達が必要な情報①自営網(衛星)、②自営IP網(通信事業者)① インターネット系災害時の情報伝達(音声・写真)① 防災行政無線(移動系)取り扱う主な情報災害地図情報(ハザードマップ・避難所情報)① 行政端末(庁内LAN)② 担当職員作成更新災害情報① 内線(PBX)→② 電気通信事業者(IP網)災害に強い情報通信ネットワーク導入ガイドブック202428
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