図4-11 都道府県防災行政無線のイメージ災害において通信の途絶や停電により情報が伝達ができない事態は、災害の対応や復旧・復興を行う自治体等の機関にとって人命や復旧の遅延につながる致命的な状況を招きます。このため、災害対応を行う機関においては、災害に強い無線を活用した情報通信システムや多様な通信手段の併用、また、通信区間のネットワークを二重にしたり複数ルートを確保したりすることで、災害に強い情報通信システムを構築しています。防災行政無線は、都道府県や市町村が「地域防災計画」に基づき、それぞれの地域における防災、応急救助、災害復旧に関する業務に使用することを主な目的として利用する無線通信システムです。また、平時には、一般行政事務用としての活用も可能です。① 都道府県防災行政無線都道府県防災行政無線は、通信事業者の回線とは別に地域防災計画に基づく、地域における防災、災害復旧等に関する事務、及び地方行政に関する事務の遂行上、必要な通信を行うために都道府県が開設する無線局を指します。この無線局は、次の4つの系統に大別することがあります。A 固定系(基幹系)都道府県の庁舎と主管内の支所や市町村などの災害対応の拠点となる施設間の区間(動かない区間)を無線により結び構成する通信網を固定系或いは基幹系と分類しています。無線局としては、7.5GHz帯、12GHz帯のマイクロ多重回線や18GHz帯のFWA※などが活用されます。B 移動系都道府県の庁舎や拠点の施設或いは管内に移動展開する車両や職員の連絡手段として開設するトランシーバ等の無線局を総じて移動系と分類しています。260MHz帯の無線局が主体になります。また、移動系は、市町村とチャンネルを共通に利用する取り決めをする自治体もあります。C テレメータ系河川の水位や降雨量などの観測データを無線で収集するための無線局です。D 衛星系固定系の区間を災害の影響を受け難い通信衛星を併用して回線を冗長化、より強靭な無線通信網を構築する場合、衛星系と分類することがあります。一般財団法人自治体衛星通信機構(LASCOM)の地域系衛星通信ネットワークを活用する事例もあります。(1)防災行政無線※FWA:Fixed Wireless Access(固定無線アクセス)衛星系(通信衛星)市役所B役場被災地中継局移動系移動系 移動系都道府県庁(災害対策本部)A 固定系マイクロ多重回線(7.5GHz,12GHz)FWA回線(18GHz)等B 移動系(260MHz)等C テレメータ系D 衛星系(通信衛星)地方本部(災害対策本部)A役場観測所(水位計)災害に強い情報通信ネットワーク導入ガイドブック20243. 防災行政無線40
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