災害に強い情報通信ネットワーク 導入ガイドブック2024
57/96

(初期)災害情報などへのアクセスが増加(情 報の増 加や集 中によ りつな がりに くい)発災前④復旧段階(1週間~)③応急段階(~1週間)情報通信システム徐々に復旧図5-9 NerveNetのイメージ②初動段階①平時(通 信でき ない場 合も)通信の影響を想定する時間帯切断停止① 機能停止の時間と範囲自治体の管理する行政情報システムは、LGWAN系、インターネット系を問わず情報源を頂点にツリー状の構造が一般的です。ゲートウェイ(LGWANまたはインターネット)や都道府県ノードに接続するスイッチを起点に、LANが形成されています。このため、ゲートウェイより上流のネットワークや機器が停止した場合、ネットワーク全体が停止する事態となります。図5-7の発災直後の状況です。② 同時に想定される被害と影響ネットワークの断線が複数発生することや停電への影響で通信機器が停止することも同時に想定されます。また、衛星通信などを除き、通信事業者の回線も止まることが想定されます。③ NerveNetによる対策NerveNet(ナーブネット)は、一般的なツリー状に接続されるネットワークの欠点を克服するため、小型のコンピューターをメッシュ状に接続してコンピューター同士がネットワーク全体の状況を把握し、一部の通信が停止しても最適な経路を導き、情報が途切れることがない通信を可能にしたNICTが開発した災害に強い通信システムです。現在は、ナシュアソリューションズ株式会社とライセンス契約を結び、社会実装可能なシステムとなっています。図5-9のように基地局間を無線や通信事業者のブロードバンド、衛星回線などで構築された複合的なメッシュネットワークが可能で、複数のルートからインターネットへの接続もできるため、上流の通信切断の影響を受けにくい特徴があります。また、基地局にアプリケーションを搭載し、仮にネットワークが分断しても、IP電話や伝言板などの通信を利用することが可能です。(4)IPネットワークの耐災害性強化へのアプローチ災害に強い情報通信ネットワーク導入ガイドブック2024図5-8 災害の対応段階と通信の影響とリスク図5-7 上流の故障に伴う機能停止発災(72時間)発災後情報通信システムが使えないことが想定期間される期間機能停止56

元のページ  ../index.html#57

このブックを見る