災害に強い情報通信ネットワーク 導入ガイドブック2024
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ー8表1-4 大規模災害と電気通信事業者の通信回線の途絶大規模災害では、停電に加え通信設備の損壊、伝送路の切断などにより、通信事業者の通信回線も途絶や輻輳が発生し、発災から復旧までの期間が長期になる事例もあります。復旧の期間は、被害の規模にもよりますが、能登半島地震でみると、役所エリアは、1日から3日、立ち入り困難区域を除くと約18日で応急復旧※2が完了しています。(表1-4参照)災害対応においては、通信の復旧が困難な地域においての活動も視野に、業務に応じた代替えの連絡手段についても考慮する必要があります。また、不特定多数が利用する公衆回線では、アクセスの集中による伝送の遅延などが発生する場合があります。前述の3つのリスクは、大規模災害により設備の破壊や損傷、利用の集中により引き起こされ通信に支障をきたす事象です。災害に強い情報通信ネットワークを考える上で、発災後に起こる事象として捉え、設備の強化や代替え手段の検討を行うことは対策の根幹となります。(3)通信事業者の通信回線の途絶と遅延リスク(4)災害による通信の基本的なリスク※1IP(Internet Protocol) インターネットで標準的に利用される通信手順(方式)※2 事務局調査の範囲による30万回線超不通約4,500回線不通(NTT東日本 固定電話)輻輳約6時間ピークトラヒック平常時の50倍約190万回線被災4月末復旧(一部エリアを除く)約2,100回線被災4月18日 役所エリア復旧19日 午後 避難所エリア復旧27日 午後 ほぼ完全復旧3万4000回線断9月6日午前中 中継伝送路仮復旧7日10日 復旧1月4日 9,259回線7日 3,885回線 (58%)15日 990回線 (89%)31日 760回線 (93%)固定回線(電話、インターネット(光など))最大約14万回線支障(停電長期化)移動通信(携帯電話等)普及し始めの携帯電話は、当初有効な連絡手段として利用。バッテリー切れや救援復旧関係者の大量持込みによる輻輳で利用不能となった。約2万9千局の基地局が停止4月末までに復旧(一部エリアを除く)熊本県内基地局400局停波停波原因(約75%商用電源停電)4月18日午前 役所エリア復旧19日午後 避難所エリア復旧27日午後 ほぼ完全に復旧最大約6500局停波(伝送路支障、長時間停電)9月8日 19:00復電宣言12日 復旧1月3日 839局 役所エリア復旧7日 583局(31%)15日 213局(75%)18日 立ち入り困難地域を除き応急復旧31日 122局(85%)災害発生年日時阪神・淡路大震災1995(H7)年1月17日 5時46分新潟県中越地震2004(H16)年10月23日 17時56分東日本大震災2011(H23)年3月11日 14時46分熊本地震2016(H28)年前震:4月14日 21時26分本震:4月16日 1時25分北海道胆振東部地震2018(H30)年9月6日 3時7分能登半島地震2024(R6)年1月1日 16時10分災害に強い情報通信ネットワーク導入ガイドブック2024

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