北海道地震 事前防災の重要性が浮き彫りに コラム

2018年9月10日

9月10日 北海道南西部の胆振(いぶり)地方を震源とする地震により、午前11時現在で地震による死者数が37名になったと北海道庁が発表した。今回の地震はマグニチュードが6.7と、阪神大震災などと比較して小さめだったにも関わらず、広範囲で大きな影響を与えた。

地震による直接的な被害として大規模な土砂崩れと地盤の液状化現象があるが、間接的な被害として北海道電力の火力発電所が被災し、電力の需給バランスが崩れ、一時北海道のほぼ全域が停電したことが挙げられる。

今回の大規模・広域停電については、季節が夏であったため二次的被害は最小限となったが、もしこれが積雪の多い北海道で、真冬に起きていたら被害の規模はさらに大きくなっていただろう。その中で北海道を中心に1,100店舗を運営するセイコーマートの対応に注目が集まった。

流通業界でセイコーマートと言えば、コンビニの絶対王者であるセブンイレブンを凌ぐ顧客満足度を誇る「最強コンビニ」として有名だ。そのセイコーマートが9月6日の被災直後、停電などで多くのスーパーが休業を余儀なくされている中、車のバッテリーから電源を取り1,100店舗のうち1,050店舗が営業を継続した。一部の店舗ではガス調理の設備を用いて暖かい食事を提供し、不安な日々を過ごす住民に安心感を与えた。

このような対応は普段から非常用電源キットを店舗に配布するなど、セイコーマート側の事前準備によって実現した。企業が組織的に事前防災に取り組んだことで、社会インフラとしての役割を緊急時でも果たした事例と言え、事前防災の重要性が浮き彫りになったと言える。

防災ログ運営事務局 石岡直木


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