災害をイメージして動ける職員は3割に満たず 人と防災未来センター調査 防災ニュース
2022年9月30日
9月30日 今年の10月22日~23日に予定されている「ぼうさいこくたい(防災推進国民大会)」は神戸で開催されます。阪神淡路大震災から27年、神戸で巨大都市災害に関する調査研究を先進的に進めてきた「人と防災未来センター」(センター長:河田恵昭)では、期間中、館内展示の無料開放を行う予定だそうです。都市の災害に関するさまざまな情報を、ぜひ自身の目で確かめてみてください。
人と防災未来センターでは、南海トラフ巨大地震をはじめとする「国難」を招く大規模災害に対する防災・減災・縮災などの取組に関し、さまざまな調査研究を進めています。そのひとつが、2018年度から2022年度の5年間をかけた中核的研究プロジェクトとして行われている「巨大災害の縮災実現に向けた体制の創出方法」に関する研究です。今年はその最終年度にあたり、プロジェクトの中間報告書が2022年2月にまとめられました。
中間報告書の中では、基礎自治体(市区町村)の防災行政に関するアンケート調査の結果が掲載されています。調査結果によると、災害が発生した際にどんな動きをするのか、業務イメージを具体的に想像できる職員が多いと感じている自治体は全国で27.1%と、3割に満たない少なさであることがわかりました。
また、実際の被害想定を盛り込んで防災訓練を行っている自治体は、全国で50.8%と、約半数にとどまりました。人口規模でみると、5万人規模を境に実施の割合が逆転し、人口規模が小さい自治体ほど実施していないと回答する割合が高くなっています。
一方で、災害が起きたときに住民がどうなるかを考える機会は、全体で74.9%、人口規模が少ない自治体でも69.6%と高い数値になっており、心得として考える機会はつくっているものの、自分の地域特性に応じた具体的なイメージをもった行動はなかなかできていないようすがうかがえます。
災害対策基本法に基づき、率先して防災に関する取組を進めることになっている自治体であっても、日頃の実態は「気になっていてもなかなか進められない」状態であるようすがみてとれます。
ましてや、企業や市民の防災は、いつ起きるかわからない防災にまで手が回らないと感じてしまうかもしれません。
しかし、毎年記録が重ねられていく実災害のデータは、日本のどこで次の災害が起きても不思議ではないことをはっきりと示しています。
災害時は、備えていたこと以上の対応はできません。災害への備えは、実災害からの教訓を踏まえた追体験で身につけたものほど実効性の高い、実際的なものになります。また、自分たちの地域のハザードをもとに、起きうる可能性の高い状況を想像しながら繰り返し訓練を行い、行動をシミュレーションしていく中でスキルアップしていきます。
みなさんの職場や自治会では、具体的な災害をイメージし、自分たちの行動を具体的に想像しながら対策をとっているでしょうか。防災月間では、備蓄の見直しや防災訓練などを行う機会が多くなると思います。ぜひ仲間と一緒に、「今災害が起きたらどんな動きになるだろう」と想像しながら、今日からできる一歩を考えあってみてください。
防災ログ事務局:南部優子