われわれは、地震や台風、火山噴火など、地球規模の物理的な営みの影響を受ける環境の中に暮らしている。地球の営みは人間の一生よりもはるかに長いスケールで変化・変動しており、人類が地球上に現われたのちに注目しても、記録が文書に残されるより以前から、われわれの祖先は多様な自然災害に見舞われながら生きていたはずである。本シンポジウムでは、現在の社会の構築、構造物の設計や防災活動において、一般的に想定している自然外乱よりも、発生頻度は低いが、もし発生するとわれわれの社会に非常に大きな影響を及ぼし国難級の被害となる巨大自然災害を対象として議論したい。これらの中には防ぐことが極めて困難な災害も含まれると予想されるが、学術分野として躊躇することなく、これらの発生の可能性を把握しつつ、取組みの方向性を考えておく必要がある。
この低頻度巨大災害を引き起こす極端な自然事象の発生の可能性を、現在までに得られている科学的知見に基づき、理学系各分野の専門家より解説していただき、これらが社会に及ぼす影響について工学系、および人文・社会科学系の各分野の専門家より発表していただく。これらをもとに、今後の学術分野における取組みの方向性を議論する。