東日本大震災の発生から5年を迎えようとしているが、東北の被災地はいまなお復興の途 上にあり、全国の約1100市区町村に19万人もの被災者が避難している。被災者支援の法制 度が不十分な状況のなか、ようやく誕生した東日本大震災復興基本法は復興予算の流用を 招き、復興の主体、復興の対象があいまいな役に立たない基本法であった。 一方で、制度の隙間を埋める被災地、被災者の間から生まれた支援の手法は、復旧・復興 の各ステージに応じて、さまざまなバリエーションを生み出し、新たな災害文化を形成しよう としている。個人レベル、自治体レベルで生まれた支援の文化を来る巨大災害に向けて、 定着させ、磨き上げて未来の被災地とともに共有していくことが重要だ。 2016年フォーラムは多様な形で被災者の支援に携わる研究者、実践者をはじめ、阪神・淡路 大震災や中越地震、東日本大震災の被災地と南海トラフ巨大地震の想定被災地から首長を お招きして、復興の課題を考える。
■1月10日(日)全国被災地交流集会(13:00~17:30)
テーマ:「あきらめない最後の一人まで~中間支援・当事者支援・いるだけ支援」
原発避難をきっかけに生まれた新たな支援活動について考えます。
■開会挨拶 岡田憲夫(関西学院大学災害復興制度研究所 所長)
■第1部 いるだけ支援 13:00~14:20
福島大学生らが仮設住宅の空き室に住み込んで近所付き合いをベースにした生活支援を続けている。学生たちの「いるだけ支援」によって、原発避難者は、学生自身は何がどう変わったのか。長期避難をめぐる支援のあり方を考える。
■第2部 中間支援・専門家支援 14:30~15:50
人材や資金、情報などの提供者とボランティアやNPOの仲立ちをする中間支援。「士業」と称される職業の人たちが専門知識を生かす専門家支援。福島での取り組みをもとに、さまざまな立場から支援の現状と問題点について議論する。
■第3部 当事者支援 16:00~17:20
福島第一原発事故で全国に散らばった人たちは、避難先で被災の当事者として支援組織を立ち上げている。本来は支援を受ける立場にある避難者がなぜ支援に乗り出したのか。その思いをつなぎながら原発避難の課題を浮き彫りにする。
■1月11日(月・祝)シンポジウム(13:00~17:30)
■ 特別講演 「災害復興と『Mastery for Service』~関西学院のSpirit~」
ルース・M・グルーベル(関西学院 院長)
■ 特別報告 「漁業者からみる震災復興」 畠山 重篤(NPO法人森は海の恋人 理事長/カキ・ホタテ養殖業)
■ パネル討論 「被災地責任で巨大災害を迎え撃つ」
趣旨説 明 野呂 雅之(関西学院大学 災害復興制度研究所 主任研究員・教授)
パネリスト 泉田 裕彦(新潟県知事) 井戸 敏三(兵庫県知事) 奥山 恵美子(仙台市長) 尾﨑 正直(高知県知事)
司 会 室﨑 益輝(神戸大学名誉教授/関西学院大学 災害復興制度研究所 顧問)