内閣府 事業継続ガイドラインを改定 災害時の外出抑制・テレワークに言及 防災ニュース

2021年5月31日

5月31日 内閣府が事業継続ガイドラインを約8年ぶりに改定しました。中央防災会議の「令和元年台風第19号等による災害からの避難に関するワーキンググループ」が2020年3月にとりまとめた報告書を踏まえたもので、ガイドラインの改定は3度目となります。

今回の改定のポイントは、災害時に従業員などが外出するのを抑制する対策の促進です。2019年の台風19号では、台風が接近した際に個人的な用事の場合は約8割が外出を控えたのですが、勤務先への出勤や勤務先からの帰宅を取りやめた人は5割強にとどまりました。台風19号で亡くなった中には勤務中の人もいました。仕事になるとリスクがあっても自分の都合では変えられないと感じ、予定を変更しない傾向があります。従業員等の安全確保には、職場側で積極的に外出を抑制できるよう取り組む必要があります。

ガイドラインでは、風水害等、事前に被害を受ける可能性が推察できる事象に対しては、緊急時の対応手順の中として、以下の事項も織り込んで検討しておくことをすすめています。
・台風、大雨、大雪等に係る気象警報や公共交通機関の計画運休などの把握
・計画休業、被災の可能性がある店舗などに対し、柔軟な対応をとるよう指示
・早期の判断によるテレワークの実施、特別休暇制度の推進などによる外出抑制対応の決定

また、実際にテレワークなどの外出抑制が進むよう、事前対策として、在宅勤務用パソコンやリモートアクセス環境、情報セキュリティ対策などの環境を整備しておくことを明記しています。

感染症対策の一環で分散勤務やリモート会議など、職場によっては、以前より柔軟な働き方になっていることでしょう。ただし、システムなどの環境を整えただけでは、災害時に最も重要な対応である「自らの安全を守ることを第一に対応する」という意識が育ちづらいかもしれません。職場として、災害時にどこまで抑制して安全を守りつつ事業継続を図るのか。改定された事業継続ガイドラインを確認しながら、いまいちどBCPの再検討をしてみることをおすすめします。

防災ログ事務局:南部優子


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