公立学校の3割が浸水想定区域や土砂災害警戒区域に 防災ニュース

2021年6月11日

6月11日 文部科学省によると、全国の公立学校のうち、浸水想定区域や土砂災害警戒区域に立地していて被災する恐れのある施設は全体の3割にあたる1万1千校あまりにのぼることがわかりました。

豪雨被害や土砂災害が相次ぐなか、全国の3万7千校あまりの公立の幼稚園、小・中学校、高校と、特別支援学校などを対象に調査が行われたもので、洪水や高潮などで被災する恐れのある浸水想定区域に立地するのが全体の約2割にあたる7476校、がけ崩れや土石流で被災するおそれのある土砂災害警戒区域に立地するのが全体の約1割にあたる4192校、両方に立地する学校が493校あることが明らかになりました。

浸水もしくは土砂災害の危険区域にある学校のうち、迅速な避難を行うために策定が義務付けられている避難確保計画をもっていたのは、浸水想定区域の学校で95%、土砂災害警戒区域の学校で79%でした。また、浸水想定区域に立地する学校で、建物や変電設備などへの浸水対策を行っていたのは15%程度にとどまっています。

危険な区域に立地する学校の割合は、自治体によって数%から50%近くまで、大きな開きがありました。文部科学省は、「地理的な事情でやむをえず立地する場合もある」としつつ、配慮の必要な施設については、災害発生を想定した備えが重要であるとし、教育委員会などを通じ、避難確保計画の策定や訓練、校舎の改修などを支援していくことにしています。

文部科学省では、今月8日に「学校施設の水害・土砂災害対策事例集」を公表し、本格的な出水期に備え、各地の事例などを参考に対策を進めるよう呼びかけています。
事例集には、水害・土砂災害に関する基礎知識のほか、学校と周辺の地域を守るために各地が講じた対策の具体的な事例が掲載されています。巻末には、今回の学校調査の結果や、各種支援制度、これまでの提言や事例集などもまとめられています。

それぞれの土地の事情により、浸水想定区域や土砂災害警戒区域の中にあってもおいそれと移転できない場合があるのは、学校だけではありません。今立地する場所にどのようなハザードがあるのかをしっかり把握し、災害が発生することを想定した被害軽減の対策や避難などの身の守り方を考え、マニュアルの作成や訓練の実施などで備えておきましょう。

防災ログ事務局:南部優子


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