線状降水帯に関する「顕著な大雨に関する情報」を17日より提供開始 防災ニュース

2021年6月14日

6月14日 気象庁は、線状降水帯に関する新しい情報として「顕著な大雨に関する情報」の発表を6月17日から開始します。「顕著な大雨に関する情報」は、警戒レベル4(避難指示)に相当します。

毎年のように線状降水帯による顕著な大雨が発生し、災害発生の危険につながるものとして広がってきていることを踏まえ、「線状降水帯」というキーワードを使い、「顕著な大雨に関する情報」として解説するものです。これからニュースなどで「線状降水帯」の言葉を使った情報提供を積極的に行って、危機感を共有し、すばやい対策に結びつけるのが狙いです。

【線状降水帯とは】
線状降水帯は、次々と発生する積乱雲が列をなして積乱雲群となり、数時間にわたってほぼ同じ場所に停滞あるいは通過していく雨域です。長さは50~300km程度、幅は20~50kmと、細い帯のようになって、同じような場所へ大量の雨が数時間にわたり降り注ぎ、河川の氾濫や土砂災害を引き起こします。

【気象庁の発表基準】
「顕著な大雨に関する情報」は、次の4つの条件をすべて満たしたときに発表される予定です。運用開始後も、必要に応じて条件の見直しや精度の検証を行うとしています。
(1) 解析雨量(5kmメッシュ)において前3時間積算降水量が100mm以上の分布域の面積が500km2以上
(2) (1)の形状が線状(長軸・短軸比2.5以上)
(3) (1)の領域内の最大値が150mm以上
(4) 大雨警報(土砂災害)の危険度分布において土砂災害警戒情報の基準を実況で超過(かつ大雨特別警報の土壌雨量指数基準値への到達割合8割以上)または洪水警報の危険度分布において警報基準を大きく超過した基準を実況で超過

【線状降水帯の情報が発表されたら】
「顕著な大雨に関する情報」は、線状降水帯がすでにできて大雨をもたらしている段階で発表されます。発表されたときは災害レベル4、ただちに避難をする必要がある段階です。線状降水帯の発生を予測する情報ではなく、発表されたときにはもう大雨となってしまっています。すでにどこかで土砂災害や河川の越水・氾濫が発生している可能性が高くなっているのです。

線状降水帯の発生を知ったときは、雨雲の動きを把握するアプリなどで、雨の帯がどの方向に流れているか、どれくらい継続しそうかを確認しましょう。当面活発な状態が続く(赤や紫の色が帯になってかかりつづけている)ようであれば、刻々と危険な状態が高まってしまうため、できるだけ早い対応が必要になります。

「顕著な大雨に関する情報」が出たときは、すでに危険な状態ですから、すぐに行動しましょう。線状降水帯がかかった雨域の中を遠くの場所まで避難するのはかえって危険かもしれません。浸水対策であればできるだけ高いところへ、土砂災害対策であれば少しでも危険な場所から離れた場所へと緊急的に身を守る待避の行動をとってください。

もし線状降水帯がかかったらどんな対応が必要か。家庭や職場でよく話し合い、ふだんからどうこうどうするかを決めて備えましょう。

防災ログ事務局:南部優子


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