集中豪雨になったら「逆流浸水」にご用心 防災ニュース

2021年6月23日

6月23日 梅雨の後半、まだまだ気の抜けない季節が続きます。局所的な集中豪雨になった場合、気をつけておきたい災害に、「逆流浸水」があります。

逆流浸水は、排水処理が追いつかなくなって、家庭内の風呂場やトイレ、洗濯機などの排水溝から下水が逆流してくる現象です。設計上の排水能力は時間あたり50mm程度といわれています。ここへ、1時間に80mm、100mmといった激しい雨が降り続いた場合、排水管を逆流して屋内に流れ込み、室内の浸水被害が発生してしまう可能性があります。

まずは、逆流浸水がどの程度起きやすいかを確認しておきましょう。リスクを調べる方法として「洪水ハザードマップ」を使います。地形に着目し、周辺と比べて低い所、曲がりくねった川のそばなどで起きやすいと考えられているため、該当する状況にないか、チェックします。

リスクが高いところでは、実際に大雨になったときの対策が必要です。ベランダを含め、周辺の側溝や排水溝を掃除し、目詰まりをなくしておくとともに、ドアや窓の隙間からの侵入を防ぐよう、土のうや水のうでブロックしておきましょう。室内に浸水してしまった場合に備え、低い位置にある家電製品は水がかからないところまで引き上げておきます。また、トイレの便器の中、洗濯機や風呂場の排水口の上などへ、水のうを乗せておきましょう。水のうは、大きめのゴミ袋(45リットルなど)を二重にして丈夫にし、半分程度まで水を入れて口をしっかり縛ってつくります。

マンションの上階に住んでいるなど、直接の浸水被害はないと思っている人も用心が必要です。2019年の台風19号(東日本台風)では、47階建てのタワーマンションで、地下にあった配電設備が浸水により停電し、組み上げポンプが動かず断水になりました。2週間近くエレベーターもトイレも使えず、オール電化だったため生活への影響が甚大で、仮住まいせざるを得ない人たちもたくさんいました。水、食料、バッテリー、簡易トイレなど、ライフラインが途絶した中で生活しようとすると、少なくとも1週間分ほどは備蓄が必要になることを覚えておいてください。

コロナ禍での災害発生時は、感染対策もあって、在宅避難が現実的だと考える人も多くいます。特に、水害は地震と異なり、家の躯体に影響が出にくいため、雨をやり過ごせば大丈夫と考えがちです。浸水被害は、思わぬ形で起きる場合もあることを、しっかり肝に銘じて、雨対策を行いましょう。

防災ログ事務局:南部優子


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