【7月の水害】平成最大の被害となった平成30年7月豪雨 防災ニュース

2021年7月1日

7月1日 梅雨の後半となる7月は、大雨による被害が起きやすくなります。平成で最大の被害をもたらした「平成30年7月豪雨」は、2018年6月28日から7月8日の11日間にわたる気象災害でした。期間の総降水量は、多いところで平均値の約9倍にのぼりました。

平成30年7月豪雨は、北日本に停滞していた前線が南下し、同じ時期に発生していた台風7号が北上してきたこともあって、まとまった大雨となりました。西日本中心に広範囲で記録的な雨量となり、大雨特別警報が1府10県に発表されました。中国・四国地方を中心に、氾濫危険水位を越えた一級河川は26水系51河川となり、あちこちで河川の氾濫や土砂災害が相次ぎ、広域で同時多発的な水害・土砂災害が発生しました。最大で約860万人が対象とした避難指示などの発令が出されました。

特別警報の前に緊急会見を開くなど、厳重な警戒の呼びかけや、避難行動を促す情報が発令されていたにもかかわらず、1府13県で死者・行方不明者が240名を超える甚大な被害が発生してしまいました。
・死者237名(広島155、岡山66、愛媛31) 行方不明者 8名(広島5、岡山3)
・全壊、半壊、一部損壊 約2.1万棟
・床上浸水、床下浸水 約3万棟
・停電 約8万戸、断水戸数 約26.4万戸
・鉄道115路線運休、高速道路19区間被災し通行止め
・22河川35箇所の堤防決壊、19都道府県88市町で内水氾濫
・土砂災害2512件、ため池決壊32箇所

この水害では、実際に避難所へ避難したのはたった0.5%、最大で約4.2万人にすぎませんでした。多くの人が自宅にいて亡くなりました。被害の大きかった岡山県倉敷市真備町では、車両で避難した人たちが殺到し、道路が渋滞する問題もみつかりました。

自分の住んでいるところのリスクを把握せず、警報が出ても切迫感をもたずに避難を決断しなかったり、在宅での待避がうまくできなかったりと、逃げ遅れを中心に人的被害が多くなってしまったものとみられます。この災害後、立ち退き避難(避難所などへ移動する避難)が間に合わない場合に、自宅など今いる場所での緊急待避(垂直避難)の考え方を含め、自分で自分のいる場所の危険を察知し適切に行動する動きが広まりました。

平成30年7月豪雨からは、私たち一人ひとりが「自分の命は自分で守る」という意識をもち、事前に住んでいるところのリスクを知っておいたり、避難指示などの情報が発令されたときにどのような行動をとるべきなのかをあらかじめ決めておく重要性が改めて問われているといえます。

ハザードマップでどこが危険か、確認したことはありますか?
近くで浸水被害が起きたときの移動ルートを確認していますか?
実際に大雨になってからでは間にあいません。この機会にしっかり現状を確認しておきましょう。

(画像出典:岡山県 平成30年7月豪雨災害検証委員会第1回検証委員会資料より)

 


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