7月は大雨による水害が集中 数十年に1度の災害が毎年のように 防災ニュース

2021年7月14日

7月14日 7月は梅雨前線が活発化し大きな水害が発生しやすい季節です。「50年に1度」の災害が毎年のように繰り返され、警戒を呼びかけるアナウンスに違和感を覚えた人も多いかもしれません。この表現はあくまで規模をとらえて言うもので、被害が発生する地域にとっては数十年ぶりでも、全国にしてみれば毎年のように発生します。近年の水害は、それだけ大きな規模の水害が毎年どこかで発生しているというのが特徴といえます。

気象庁が発表している事例から、7月に発生した水害を挙げてみましょう。
昭和の時代は、死者・行方不明者が数百人にのぼる災害などが全国で発生しています。

<昭和>
・1951年7月7~17日(九州から北陸まで被害、京都府を中心に死者・行方不明者306名)
・1952年7月10~12日(近畿地方で大きな被害、大阪府を中心に死者・行方不明者140名)
・1953年7月16~25日 南紀豪雨(和歌山県を中心に死者・行方不明者1124名)
・1957年7月25~28日 諫早豪雨(九州地方を中心に死者・行方不明者722名)
・1962年7月1~8日(九州地方、中国地方、中部地方で被害 死者・行方不明者127名)
・1964年7月17~20日 山陰北陸豪雨(山陰地方、北陸地方を中心に死者・行方不明者132名)
・1967年7月8~9日(佐世保、呉、神戸市を中心に死者・行方不明者369名)
・1972年7月3~15日(全国で甚大な被害発生、死者・行方不明者447名)
・1982年7月 長崎豪雨、台風10号(近畿・北陸・関東を中心に死者・行方不明者439名)
・1983年7月20~29日(島根県を中心に死者・行方不明者117名)

平成になると、治水や避難などの対策が進み、死者や行方不明者の人数は全体として少なくなっているものの、命に関わる規模の大きな豪雨災害が毎年どこかで発生するようになってきています。平成で最も被害が大きかったのは、2018年の「平成30年7月豪雨」で、死者・行方不明者あわせて232名と、平成に入ってからでは桁違いに大きな被害となりました。
令和になってからの大雨では、昨年の令和2年(2020年)7月豪雨は、ほぼ1カ月降り続いた長雨で、全国各地で被害が拡大しました。

<平成~令和>
・1989年7月24~8月7日(台風11、12、13号による被害 死者・行方不明者31名)
・1993年7月26~8月(台風5、6、7号と梅雨前線による被害 死者・行方不明者107名)
・1996年7月3~7月4日(落雷や雹も伴った水害 死者2名)
・1997年7月1~17日(西日本・中部)24日~29日(台風9号と前線 四国・東海)死者26名
・2000年7月3~9日(伊豆諸島から関東・北海道を中心に大雨)
・2001年7月11~13日(九州北部を中心に大雨)
・2002年7月8~12日(台風6号と前線 中部から東北を中心に死者・行方不明者7名)
・2003年7月18~21日(九州北部を中心に死者23名)
・2004年7月12日~ 新潟・福島豪雨、福井豪雨、台風10、11号(計 死者・行方不明者24名)
・2005年7月1~10日(西日本と中部、九州、東海など 死者10名)
・2006年7月15~24日(九州、山陰、近畿、北陸など 死者・行方不明者30名)
・2007年7月1~17日(沖縄から東北南部の太平洋側 死者・行方不明者7名)
・2008年7月27~29日(中国・近畿・北陸・東北 死者・行方不明者16名)
・2009年7月19~26日(九州北部・中国・四国 死者36名)
・2010年7月10~16日(九州北部、中国、東海などを中心に死者・行方不明者22名)
・2011年7月27~30日 新潟・福島豪雨(新潟・福島を中心に死者・行方不明者6名)
・2012年7月11~14日 九州北部豪雨(福岡・熊本・大分を中心に死者・行方不明者33名)
・2013年7月22日~8月1日(島根・山口をはじめ北日本まで広く被害 死者・行方不明者5名)
・2014年7月6~11日(台風8号と前線 沖縄・九州南部・奄美を中心に死者3名)
・2018年6月28日~7月8日(平成30年7月豪雨 死者・行方不明者232名)
・2020年7月3日~30日(令和2年7月豪雨 死者・行方不明者86名)

今年からは局所的に激しい雨をもたらす線状降水帯に関する「顕著な大雨に関する気象情報」も加わりました。国や自治体から、気象情報、気象警報、特別警報、災害警戒情報、洪水情報、避難情報などさまざまな情報が発表されます。
それらひとつひとつについて、どのレベルの情報のときにどんな行動を取る必要があるのか、家族や職場で日頃からよく話し合い、準備しておくようにしましょう。

写真:2020年7月豪雨 相良橋・左岸から

 

防災ログ事務局:南部優子


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