【7月の地震】新潟県中越沖地震 BCPの重要性に気付かされた大地震 防災ニュース

2021年7月28日

7月28日 真夏の7月に発生した大規模地震に、新潟県中越沖地震があります。新潟県中越沖地震は、2007年7月16日午前10時13分、新潟県上中越沖の深さ17km地点で発生しました。規模を示すマグニチュードは6.8で、最大震度は新潟県柏崎市、長岡市、刈羽村で6強を観測し、北信越地方を中心に大きな揺れとなりました。

地震により、死者15名、負傷者2,345名、住家全壊1,319棟、住家半壊5,621棟、住家一部損壊35,070棟の被害が生じました。土砂災害は、地震発生直後だけでなく10日後の降雨によりさらに被害が発生し、地すべり26件、がけ崩れ82件となりました。

ライフラインの被害も大きく、約37,100戸が停電したほか、都市ガスは31,179戸、上水道58,961戸が断水。電話は800回線が不通となり、携帯電話基地局は126局が停波しました。その他、道路被害農地被害なども多数発生しました。海中で発生した地震であったこともあり、最大震度を観測した柏崎市と刈羽村に位置する柏崎刈羽原子力発電所で、想定を超える地震の揺れが観測され、機械の破損や建物のひび・剥離、水漏れなど、大小あわせて3,427件の被害やトラブルが発生しました。

 

新潟県は、わずか3年たらずの間に2度目も大規模地震に見舞われています。前回大きな被害をもたらしたのは新潟県中越地震です。新潟県中越地震は、2004年10月23日17時56分に発生しました。震央は新潟県中越の内陸で、マグニチュードは6.8と同じ規模でしたが、最大震度は新潟県川口町で震度7を観測しました。中山間地を直撃した大地震により、死者68名、負傷者4,805名、住家全壊3,175棟、住家半壊13,810棟、住家一部損壊104,619棟と甚大な被害となりました。土砂災害も多く、山腹崩壊を含む土石流が21件、地すべり131件、がけ崩れ115件が発生。孤立集落もたくさんできてしまいました。

2004年の新潟県中越地震の後、地震対策が進められたり訓練などが行われたりしていたこともあって、2007年に起きた新潟県中越沖地震では、ある程度の備えがなされていたのではないかと考えられています。また、最大震度が震度6強であったことも、命に関わる被害は抑えられたといえそうです。

しかし、大規模地震の場合、命だけでなく経済へのダメージが大きくなると、社会全体の生き残りが困難になってしまいます。

新潟県中越沖地震では、自動車の部品メーカーの工場内で機器などが転倒し、設備が大きく被災したため、エンジンに欠かせないピストンリングの生産が停止してしまいました。このメーカーの国内シェアは5割を占めていたことから、全国の自動車メーカー全社が一時的に生産を停止せざるを得なくなる自体が発生したのです。先の新潟県中越地震をふまえて補強対策やBCP策定を進めていた矢先でした。

この部品メーカーの被害に対しては、取引先の自動車メーカーの社員が支援に駆け付け、約1週間で操業を再開することができました。技術職だけでなく、被災経験のある総務担当者も含め、多いときには1日800人が集まったといいます。また、水道の復旧の際には、地域も早期の再開を応援してくれました。

新潟県中越沖地震のこの教訓をふまえ、サプライチェーンなど、自社の被災が経済に及ぼす影響を考慮し、事業継続計画(BCP)の重要性が注目を集めるようになり、国の省庁も力を入れて取り組みを進め、全国各地での対策強化が図られたのでした。

画像提供:新潟県『中越沖地震の記録』より 国道352号柏崎椎谷の被害。地震発生から10日後の降雨により、赤枠部分の土砂災害が新たに発生した。

 

防災ログ事務局:南部優子


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