熱海市の土石流災害から1カ月 激甚災害指定へ 防災ニュース

2021年8月4日

8月4日 静岡県熱海市に甚大な土石流災害をもたらした「令和3年7月1日からの大雨」から1カ月たちました。土砂の撤去は徐々に進められており、自衛隊による活動は7月31日の午前で活動を終えました。これまでに死者22名となり、いまだ6名の行方がわかっていません。

7月1日から3日にかけて梅雨前線が本州南岸に停滞し、東海地方から関東地方南部を中心に大雨となりました。静岡県の複数の地点で72時間降水量が観測史上1位を更新するなど、記録的な雨を観測。そして3日に、熱海市で大規模な土石流災害が発生してしまいます。4日以降は梅雨前線が北上し、広い範囲で大雨となりました。10日は鹿児島県、宮崎県、熊本県に大雨特別警報が発表され、12日には青森県、三重県、島根県、鳥取県で1時間降水量が観測史上1位を更新するなど、全国各地で被害が発生しました。

政府は、7月3日に官邸対策室を設置し、関係閣僚会議を開催して総理の会見を開きました。特定災害対策本部会議は7月30日までに3回開催されています。30日の対策本部会議では、今回の梅雨時期に発生した大雨被害(「令和3年梅雨前線豪雨等による災害(仮)」)を激甚災害に指定する見込みであることを明らかにしました。

この大雨による被災支援策としては、次のような緊急対応策が講じられています。

<生活の再建>
・応急仮設住宅の供与、公園住宅等の確保
・被災者生活再建支援金の支給(最大300万円)
・被災者の住宅に関する相談窓口の設置、現地相談実施支援
・宅地内の災害廃棄物・土砂の迅速な撤去
・仮設住宅に入居する被災者などの見守り・相談支援
・学習、就学支援
・金融機関の返済猶予等の柔軟な対応
・自然災害債務整理ガイドラインによる被災者の債務整理支援

<生業の再建>
・小規模事業者支援推進事業の補助上限、補助率の引き上げ
・小規模事業者持続化補助金の優先選択
・中小企業等への相談窓口の設置
・日本政策金融公庫等による資金繰り支援
・被災した山林、林道等の復旧、荒廃林地における森林整備、地産対策
・漁業環境の回復に向けた支援
・被災観光地における「地域観光事業支援」を活用したクーポン券の上限金額のかさ上げ
・地域と連携したSNSやHPを通じた正確な被災地情報の発信による観光需要回復や風評被害の払拭

<災害復旧>
・被災した公共土木施設、農林水産業施設等の災害復旧
・土石流災害の再発防止のため国直轄の緊急的な砂防工事
・まちづくりの方針策定の重点的支援

画像提供:首相官邸「令和3年7月1日からの大雨について」

 

防災ログ事務局:南部優子


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