避難指示が出ても避難しなかった人が半数に 赤十字調査 防災ニュース

2021年9月8日

9月8日 今年の台風ほ、8月までは12個と、平年(13.6個)に比べやや少なめになっています。しかし油断は禁物です。9月6日にはフィリピンの東で台風13号が発生しています。13号が日本に与える影響はない見込みですが、今後は日本にやってくる台風も増えるでしょう。9月の台風は日本列島に近づきやすく、秋雨前線と重なって大きな被害をもたらす場合も少なくありません。大雨や暴風になってからでは間に合いませんから、今のうちに備えをしておきましょう。

日本赤十字社が全国の約3万人を対象に、風水害時の避難について調査したところによると、調査対象者のうち、近年実際に被災を経験したのは約6割でした。自治体から出される避難指示などの情報との重ね合わせで調べると、避難指示などがが出ていたにもかかわらず避難しなかったのが46.2%と、約半数にのぼることがわかりました。

(日本赤十字社調べ。Aグループ:避難勧告・指示が出ていた/避難した、Bグループ:避難勧告・指示が出ていた/避難していない、Cグループ:避難勧告・指示が出ていなかった/避難した、Dグループ:避難勧告・指示が出ていなかった/避難していない。避難勧告・指示の発令があって避難していないBグループの割合が最も多く、46.2%と約半数にのぼる。)

 

避難しなかった理由については、「自宅のほうが安全だった」が59.0%と最も多くなっていますが、「過去の災害で被災しなかったから(28.0%)」「近所の人や知人が避難していなかったから(24.0%)」と4分の1以上を占めており、正常性バイアスや同調性バイアスなどの認知バイアスが働いている可能性が考えられます。

日本赤十字社の同調査で風水害が発生したときに利用している情報源について尋ねたところ、テレビ(79.5%)とインターネット(70.8%)がツートップで多くなりました。ついで自治体からの情報(52.5%)、ソーシャルメディア(29.85%)、家族や知人(29.3%)が続きます。(複数回答)

気象庁のホームページやお天気アプリなど、インターネットを使って自分のタイミングで情報を収集する人の割合がかなり多くなっているようすが伺えます。

(日本赤十字社調べ)

 

テレビと自治体からの情報はプッシュ型で、受け手の状況とは無関係に情報がやってきます。これに対し、インターネットやソーシャルメディアの情報はプル型。自分でアクセスして情報を集めています。自分のほしいタイミングに合わせられるため使い勝手がよいですし、効率も良いのはたしかですが、一方で自分に都合の良い情報ばかりが集まってしまう可能性もあります。

近年の大雨や暴風は年々勢力を増してきており、全国各地で連日のように避難指示の情報が出ています。それでも「自分たちのところはこれまで大丈夫だったから」と、安心できる材料として情報を探し求めてしまう。これが認知バイアスにつながっているかもしれません。

気象情報のサイトやアプリを利用するときは、それぞれのデータがどのような意味をもち、どんな状態になったらリスクが高いのか、自分たちで「逃げどき」を正しく判断できるように、情報の収集スキルだけでなく情報の読み取り力も高めていきましょう。

防災ログ事務局:南部優子


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