災害時、水や食料と同じくらい必要になるトイレ対策 防災ニュース

2021年9月14日

9月14日 大規模な災害への対策として、飲料水や食料などを揃えたり、充電器やカセットコンロなど電気や水道などのインフラが停止した場合に備えたりしている人はたくさんおられるはずです。一方、排泄に必要なトイレ対策はどうでしょうか。自宅にトイレの備えをしている人はまだ2割にも満たないと言われています。

日常では話題にしづらいかもしれませんが、飲食と同じくらい排泄は重要です。トイレに行くことをためらっていると、排泄の回数を減らすために水分を控え過ぎて脱水症状や熱中症になるなど、体調にも影響がでてしまいます。

日本トイレ研究所が実際に被災した人に対して行ったアンケートによると、災害発生後最初にトイレに行きたいと感じたのは、3時間以内が39%、6時間以内が34%でした。12時間以内までをあわせると92%と、ほとんどの人が半日ほどでトイレに行きたくなったと回答しています。

一方で、災害時のトイレはどのくらいで供給されるのでしょうか。大規模地震災害を例に、時間経過に合わせてどのようなトイレが必要になるかをまとめた図でみていきましょう。

国土交通省「マンホールトイレ整備・運用のためのガイドライン」(2021年3月)より

 

国や自治体が用意する仮設トイレや車載トイレのような災害対応用トイレは、各機関が調達して被災地に運び込むまでに時間がかかります。東日本大震災のときは、避難所に仮設トイレが行き渡るまでの時間は3日以内が34%、1週間以内が17%でした。
現在はプッシュ型の支援といって、かなり対策が進んではいますが、それでも早くて24時間、災害の規模によると3日くらいかかるかもしれません。

避難所などにあらかじめ配備されている常設の仮設トイレやマンホールトイレなどもありますが、数が少なく、汲み取りが必要なタイプだとあっという間に使えなくなってしまいます。つまり、災害発生直後にトイレに行きたくなっても、公的な支援は間に合わないのです。

災害時の排泄は、自分の分は自分でなんとかするつもりでいましょう。最低3日分、できれば1週間分くらいは、各自が備蓄した携帯トイレや簡易トイレでしのぐ必要があります。
携帯トイレは、自宅の洋式便器などにかぶせて設置するなどして使用する便袋です。吸水シートのタイプや凝固剤タイプなどがあります。
簡易トイレは、持ち運びできる小型のトイレで、トイレの便器も使えない場合に使用できます。携帯トイレの便袋をかぶせて使用するタイプや、機械式のものなどがあります。機械式は、電気が供給されないと使用できないタイプのものがあるため、注意が必要です。

日本トイレ協会によると、1日あたりの排泄回数は大人で5回くらいとされます。例えば4人家族で3日分だと 5回×4人×3日の60回分、1週間分だと 5回×4人×7日の140回分の用意が必要です。かなり多く感じるかもしれませんが、かなりコンパクトな箱におさまったものもありますし、長期保存できますから、まとまった数を備えておくと安心です。

排水に困るのは地震だけではありません。大規模な浸水被害が発生した場合にも長期にわたって排水が困難になる場合があります。感染症対策で自宅避難を考えている人もおられると思います。水や食料、充電機器とあわせて災害用のトイレも準備しておきましょう。

防災ログ事務局:南部優子


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