相次ぐ震度5強 老朽化した施設の被災が問題に

2021年10月11日

10月11日 10月6日未明に岩手県沖、7日深夜に千葉県北西部を震源とするマグニチュード5.9(最大震度5強)の地震が発生しました。6日夕方には九州の大隈半島東方沖を震源とするマグニチュード5.5(最大震度5強)の地震も観測されており、日本全国で強い地震・やや強い地震が相次いでいます。

6日未明に発生した地震では、岩手県内の国道(震度4)で信号機の支柱が折れて道路の一部をふさぐ被害がありました。折れた支柱は7月の目視による点検では異常がなかったものの、製造から47年が経過しており、耐用年数の目安の42年を超えていました。岩手県内には同様の耐用年数を超えた支柱が1,000本以上あるとされています。
7日深夜の千葉県北西部の地震では、東京都内や千葉市など各地で水道管が破裂し、道路脇から大量の水が溢れ出す被害が発生しました。

老朽化したインフラ施設が地震により破損する被害は、近年大きな問題となっています。
2018年6月の大阪府北部の地震でも、浄水場からつながる主要な水道管が破裂して約9万5,000戸が最大2日間にわたって断水しました。破裂した水道管は耐用年数の40年を10年以上超過していました。

水道管の管路の経年化は年々進んでいます。法定耐用年数を超えた管路延長を管路総延長で割った管路経年化率は、2008年に7.0%だったのが2018年には17.6%と、年々上昇しています。一方で、更新された管路延長を管路総延長で割った管路更新率は年々低下し、2008年に0.88だったのが2018年には0.68まで下がっています。

出典:厚生労働省「管路の経年化の現状と課題」より

www.niph.go.jp/h-crisis/wp-content/uploads/2021/03/20210310102100_content_000750670.pdf

こうした課題も踏まえ、政府では、防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策を講じています。基本的な考え方の中に「甚化する風水害や切迫する大規模地震等への対策」「予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策の加速」などを軸に加え、概ね2.7兆円の予算を計上して2021~2025年度の5年間に、次のような対策を集中的に行うとしています。
・国土交通省:河川管理施設、道路、港湾、鉄道、空港の老朽化対策、公営住宅の建て替えなど
・農林水産省:農業水利施設等の老朽化など
・文部科学省:公立小中学校施設、国立大学施設などの老朽化対策、防災機能強化対策など
・厚生労働省:水道施設(浄水場)の耐災害性強化対策、上水道管路の耐震化対策など

 

<2021年10月6日~7日の強い地震の概要>
【岩手県沖の地震】
発生日時:2021年10月6日02時46分
震源地:岩手県沖 地震の規模:マグニチュード5.9 震源の深さ56キロメートル
揺れの強さ:震度5強(青森県階上町) 震度5弱(青森県、岩手県)
津波の発生:なし

【千葉県北西部の地震】
発生日時:2021年10月7日22時41分
震源地:千葉県北西部 地震の規模:マグニチュード5.9 震源の深さ75キロメートル
最大震度:5強(東京都足立区、千葉県川口市、宮代町)
揺れの強さ:震度5弱(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)
津波の発生:なし

防災ログ事務局:南部優子