【10月の風水害】令和元年台風19号(東日本台風)

2021年10月18日

10月18日 10月に日本列島を襲った台風で記憶に新しいのが、2019年の台風19号です。2019(令和元)年10月12日ごろ伊豆半島に上陸した台風19号は、関東地方と東北地方を進み、東日本を中心に広範囲で記録的な大雨や暴風をもたらし、甚大な被害を発生させました。その災害の大きさは、台風19号が「東日本台風」と42年ぶりに台風に名称がつけられたことでもわかります。気象庁は顕著な災害をもたらし、経験や教訓を残す必要がある災害には名前をつけていますが、近年は地震が中心でした。

東日本台風は、10月6日に発生して猛烈な台風に発展した後、10日には日本列島に接近し、大型で強い勢力をもったまま、12日に伊豆半島に上陸しました。そのまま13日にかけて北上し、関東地方と東北地方を進んで温帯低気圧に変わりました。10日から13日までの総雨量は神奈川県箱根町で1,000mmを超えたほか、関東甲信越地方と静岡県の17地点で500mmを超えました。また箱根町では12日の1日の降水量が922.5mmと、全国歴代1位を観測しました。

この台風により、1都12県309市区町村に大雨特別警報が発表される事態となりました。国・県の管理河川で104箇所が決壊するなど、同時多発的に、また広範囲に、大雨、暴風、高波、高潮による甚大な被害が発生しました。河川の氾濫に関する情報の伝達がうまくいかずに浸水して取り残され、救助要請が相次いだり、大規模な床上浸水が発生して多くの方が亡くなったりしました。また、人口が集中する東京都で避難所が満員となり、住民が入りきらずに混乱するなど、避難所不足の問題も発生しました。

この東日本台風には、その後の気象状況からさらに被害が拡大しています。台風が通過してから10日ほどたった10月24日から26日にかけ、ダメ押しをするように低気圧がやってきたのです。このため、全国で桁違いの規模の被害を出してしまうこととなりました。

・人的被害:死者104名(うち災害関連死7名)、行方不明者3名、重軽傷者384名
・建物被害:全壊3,308棟、半壊30,024棟、一部損壊37,320棟
・浸水被害:床上浸水32,092棟、床下浸水36,140棟
・土木被害:河川被害140箇所、土砂災害785箇所
・避難情報:避難指示936,133人、避難勧告6,375,039人
・避難状況:避難所8,345箇所、避難者52,276人
(人的被害は2020年4/10現在、避難情報は2019年10/12現在)

そのほかにも、浸水による都市部の脆弱性も問題になりました。国や都・県が管理する大きな河川に流入する小さな河川の排水が追いつかず、あちこちで内水氾濫が発生したのです。これにより、駅が水没したり、タワーマンションの1階に設置されていた電源設備が浸水により被災して1週間以上停電が続き、エレベーターだけでなく水を組み上げるポンプも稼働できずに断水が長期化し、多数のマンションの住民に影響を与えた例もありました。

その他にも、通電火災や大量の災害ゴミの発生、屋根の応急修理に必要なブルーシートを張り替える職人不足による復旧の遅れや修理詐欺などのトラブルの発生など、都市部での台風災害のリスクが浮きぼりになりました。

写真出典:防災ログ撮影

防災ログ事務局:南部優子