災害の備蓄対策にフェーズフリーの考え方を
2021年10月24日
10月24日 災害大国と呼ばれる日本。突然発生する災害へのじゅうぶんな備えが必要と毎日のように呼びかけられています。頭ではわかっていても、実際のところは何をどう備えていけばよいのか。「防災は難しい」と感じる人も多いのではないでしょうか。
災害が発生すると、何らかの対応が必要とされる「非常事態」となります。このときに活用するのは「非常用」とされ、平常時とは異なる特別なもの――例えば、非常食や非常用電源などを備えようと言われています。
ところが、非常用と特別扱いして、ふだん使わない場所にしまい込み、めったに使わないでいると、いざというときになると使用期限が切れていたり、操作がわからなかったり、どこに置いたかわからなくなったりしてしまいがちです。
このような課題を受けて、現在「フェーズフリー」という考え方が提唱されています。フェーズ、つまり非常時と平常時の垣根を超え、社会の状態によらず適切な生活が送れるようにしていこうというわけです。バリアフリーが物理的なアクセシビリティを扱うのに対し、フェーズフリーは時間的なアクセシビリティを扱うものといえるかもしれません。
日常の食事に長期保存食を取り入れてローリング・ストックで買い足していく方法や、キャンプなどのアウトドア用品や衣類を災害時に活用する考え方、ふだんから雨水や太陽光を活用した設備を導入し、ライフラインが途絶しても自力で調達できるようにするなど、フェーズフリーでは日常と非常時を地続きにして衣食住のありかたを考えます。
「フェーズフリー」は、2018年に発足した一般社団法人フェーズフリー協会が提唱している概念で、翌2019年から商品・サービスの認証制度が始まっています。次の5つの原則に基づき、基準を満たすと「PF認証マーク」を用いることができます。
・常活性:どのような状況においても利用できること。
・日常性:日常から使えること。日常の感性に合っていること。
・直感性:使い方、使用限界、利用限界が分かりやすいこと。
・触発性:気づき、意識、災害に対するイメージを生むこと。
・普及性:参加でき、広めたりできること。
フェーズフリーは概念の普及・浸透を目的とし、商標登録されています。認証マークを用いるには申請が必要です。その他、アクションパートナーといって、企業・団体または個人として登録し、活動することもできます。
ふだんの事業や生活にフェーズフリーの考え方も加え、よりよい毎日にしていきましょう。
画像出典:一般社団法人フェーズフリー協会「フェーズフリーとは?」より作成
防災ログ事務局:南部優子