この冬はラニーニャの可能性 冬の前半で強い寒気のおそれ

2021年10月25日

10月25日 今秋から今冬は、ラニーニャ現象の発生確率が高まっています。10月11日に気象庁大気海洋部が発表した「エルニーニョ監視速報」によると、11月から12月は70%、翌年1月から2月は60%の確率でラニーニャ現象に入る可能性があるとしています。

ラニーニャ現象が発生するとどのような天候への影響があるのかをおさらいしておきましょう。ラニーニャ現象は、貿易風と呼ばれる東風が平常時よりも強く吹き、太平洋東部で冷たい水の湧き上がりが平常時より大きくなります。このため、太平洋赤道域の中部から東部で海面水温が低くなる一方、西部のインドネシア近海では暖水が厚く蓄積し、積乱雲が盛んに発生するようになります。

画像出典:気象庁「エルニーニョ/ラニーニャ現象とは」より 図2 エルニーニョ/ラニーニャ現象に伴う太平洋熱帯域の大気と海洋の変動

 

過去にラニーニャ現象が発生したときの日本の冬の気象では、冬全体を通してみるとそれほど寒くならない場合でも、一時的に強い寒気が流れ込んで厳しい寒さや大雪をもたらしました。昨冬もラニーニャ現象がみられたのですが、冬の前半で記録的な大雪となり、関越自動車道で多数の車両の立ち往生が発生しています。また、2017年から2018年にかけてラニーニャ現象が発生したときは、西日本で32年ぶりの寒い冬となり、日本海側で記録的な大雪となったほか、東京都心で20cmを超える積雪になるなどの混乱がみられました。

世界に目を向けると、南米で雨が少なくなり、インドネシアで洪水が増加するなどの可能性があります。アメリカ合衆国の太平洋岸北西部や北部平原に寒気が流れ込んで荒天となるおそれもあり、さまざまな影響が考えられます。

ラニーニャ現象に向かう兆候は今冬で2年連続となります。ラニーニャ現象が発生すると、冬の気象災害や経済・エネルギー事情の混乱など、大きく影響を受ける可能性もあります。気象庁の予報などを参考に、冬の備えを進めておきましょう。

出典:気象庁大気海洋部「エルニーニョ監視速報No.349 2021年9月の実況と2021年10月~2022年4月の見通し」より 図2 5か月移動平均値が各カテゴリー(エルニーニョ現象/平常/ラニーニャ現象)に入る確率(%) 2021年10月11日発表

 

防災ログ事務局:南部優子