北海道でも梅雨で大雨になる日がくる
2021年11月16日
11月16日 11月14日、国連の気候変動対策会議「COP26」が閉幕し、世界の平均気温の上昇を1.5度に抑える努力が明記され、それに向けて今後10年間の行動を加速させる必要を明確にした文書が採択されました。事実上の新たな世界の共通目標が決定したわけです。一方、具体的な削減事項については、石炭火力発電が段階的な「廃止」から「削減」へと表現が弱められるなど、各国間の意見のくいちがいも浮き彫りとなり、気温上昇を1.5度に抑える対策をどこまで協調して実現できるのか、難しい面も残されています。
地球温暖化が止まらなかった場合、水没する危機が迫っているマーシャル諸島をはじめ、世界各国への影響が甚大です。日本も例外ではありません。京都大学の研究チームがまとめたところによると、このまま温暖化対策を取らず、IPCC(国連の気候変動に関する政府間パネル)が想定する平均気温の上昇が4度を超える状態が続いた場合、災害を発生させる豪雨となる降雨域はさらに北上し、全国に大きな被害をもたらすとしています。
京都大学防災研究所中北英一教授らのチームが日本周辺の海水温や降雨量などの変化をシミュレーションした結果によると、近年九州地方に集中する豪雨被害は今後全国的な広がりをみせて北上し、2020年代後半には岩手県など東北地方まで、2090年代には北海道函館市付近まで及び、さらに、現在すでに大雨になりやすい九州地方では発生頻度が1.5倍前後にまで増える可能性があると予測されています。
毎年のように水害が発生し、漠然と梅雨時の豪雨や台風の巨大化を感じる昨今ですが、シミュレーションデータが数値の上でもそれを裏付けているといえるでしょう。北海道には梅雨がないといわれていたのは過去の話になってしまいました。今まで豪雨の心配をしたことがなかった地方でも、最悪を想定した対策の検討が必要となる時代になっているのです。
そして、災害への備えを強化するのはもちろんのこと、その根源的な課題を解決するための日頃の行動も重要です。気象災害の激甚化を招いているのが現在のわたしたちの消費行動であることにも意識を向けて、一人ひとりができることは何かを考え、行動に移していきましょう。
防災ログ事務局:南部優子