ペットとの同行避難、できますか?

2021年12月16日

12月16日 大きな災害時が発生して避難するとき、家族同然に接しているペットの受け入れがどうなっているか考えたことはありますか?1995年阪神・淡路大震災から後ペットの避難をめぐってはさまざまな課題が指摘されています。そして、東日本大震災での教訓を踏まえて2013年には環境省が「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」を作成しました。さらに、2016年の熊本地震での課題を踏まえ、2018年には「人とペットの災害対策ガイドライン」として改定されました。

ガイドラインでは、災害発生時には人と同様にペットの安全確保に努め、避難はペットと一緒に行う「同行避難」を基本としています。ところが、実際に被災地で開設される避難所では、ペットの受け入れがスムーズにいかない場合が数多くみられているのです。

2018年の西日本豪雨では、避難所での受け入れがなくペットと車中泊を続けざるをえなかった例や、自宅に取り残され猛暑で衰弱したペットもいました。2019年に発生した東日本豪雨でも、さいたま市が公式ツイッターでペットの同行避難を呼びかけていた一方で、「近くに受け入れてくれる避難所がない」「避難所に行ったが断られた」という声が多く聞かれました。

ガイドラインでは市町村に対し、避難所でのペットの受け入れについても定めるよう呼びかけているものの、人名優先でペットまでは手が回らず、どのくらいの飼育頭数があるのか、どの程度の対策が必要なのかを把握できていなかったり、専門知識をもつ職員が少なく関係機関との連携が難しかったりして対応が進んでいません。

一方で、ペットフード協会による全国犬猫飼育実態調査によると、ペットの飼育頭数はコロナ禍で在宅生活が進んだこともあり、2020年は1年以内の新規飼育が過去5年の中で最も多くなっています。飼育を始めたばかりであればなおのこと、いざというときにどのような状況になるのかをあらかじめ予想する必要があります。

ペットは、災害が発生した中でも飼い主が自らの責任のもとで健康を管理し、周囲とも共生できるよう飼育し続けるのが原則です。市町村の対策は飼い主を支援するにすぎません。ふだんから次のような対策をたてて備えておきましょう。

<ペットと避難するための事前対策>
●周辺の避難所の運営マニュアルを調べてペットの受け入れがあるかを確かめる
●同行避難がスムーズにいくよう、キャリーケースに慣れさせる
●同行避難ができない場合を想定し、ペットの預け先を複数決めておく
●ペットと一緒に在宅避難できるよう、備蓄を3日~7日分程度ストックする
●飼い主が不在のときに災害が発生した場合の安全対策(揺れ対策など)
●迷子になってしまった場合を想定し、マイクロチップを装着する
●ワクチンの接種歴、治療中の病気、投薬内容など健康状態を説明できるようにしておく

防災ログ事務局:南部優子