危険な盛土、全国で657箇所も
2022年1月13日
1月13日 7月3日に発生した静岡県熱海市の土石流災害から半年となりました。26人が犠牲となり、今もまだ1人が行方不明です。この土石流災害により、災害発生の恐れがある「危険な盛土」の存在がクローズアップされ、全国で盛土の総点検が行われました。
政府が2021年12月20日に開催した有識者検討会で報告した暫定結果によると、災害防止措置が施されているかを確認できなかった盛土が全国で657箇所にのぼることが明らかとなりました。検討会では、この暫定結果を踏まえ、新たな法整備を提案しました。今年中に関連法の改正案が国会に提出される見込みです。
盛土の総点検は、土石流災害発生の翌月、政府が都道府県に要請したものです。対象となったのは、土砂災害警戒区域などにある3万6226箇所で、都道府県では11月末までに約8割に相当する2万8152箇所の点検を目視などにより行いました。今年度中に対象箇所すべての点検を完了させる予定です。
暫定結果は、現状の点検結果を踏まえて集計されました。このうち、必要な災害防止措置を確認できなかったのは657箇所だったほか、許可や届け出などの手続きを経ていなかったのが743箇所、法令手続きの内容と現地の状況が異なっていたのが660箇所、廃棄物が投棄されていたのが137箇所ありました。重複分を除き、全国で1375箇所の盛土に問題が見つかっています。
有識者検討会では、この暫定結果を踏まえ、盛土による災害防止に向けた提言案を作成しました。人家へ被害を及ぼす恐れのある箇所では速やかに応急対策をとる必要があるとし、安全対策を優先的に行う箇所を特定することを求めています。具体的には、自治体が撤去などの是正措置を指示し、応じない場合はためらわず行政指導や行政処分を行うこと、行政処分に従わない場合は自治体が行政代執行を行い、国が支援することなどを提案しています。また、法令の規制対象とならないものについては、人家などに危険が及ぶ恐れが大きい場合は自治体が是正命令や行政代執行を行えるよう、盛土に関する法制度を整備する予定です。
日本の国土は7割が山地です。今回の総点検も目視で行っており、今後の詳細点検でさらに箇所は増える恐れもあります。いつどこで起きても不思議ではない土砂災害。公的な措置を待っていては間に合わないかもしれません。自分の身の回りで危険なところはないか、ハザードマップで土砂災害警戒区域などを確認し、自分たちでできる安全確保を行っておきましょう。
防災ログ事務局:南部優子