指定避難所の3割が浸水想定区域に立地 内閣府調べ

2022年1月24日

1月24日 災害時に自治体が避難施設として定めている指定避難所の約3割が、風水害時の浸水想定区域に立地することが、内閣府の調査で判明しました。水害の際には利用できず、やむを得ず指定外の場所に避難所を設置する必要があり、安全確認などの対策が求められています。

一般的に「避難所」と呼ばれる施設は、基礎自治体(市区町村)が指定しています。災害対策基本法に定められているものには、大きく2つの区分があります。
・指定緊急避難場所:生命の安全を確保するため緊急的に身を寄せる場所
・指定避難所:自宅の被災や帰宅困難になった場合に一時的に滞在する施設

そのほか、要介護者や障害者など特別な配慮を必要とする人を対象とした福祉避難所も設置されますが、一般的には、「避難場所=緊急の逃げ場所(大きな公園など)」「避難所=寝泊まりして避難生活を送る施設」があると覚えておくとよいでしょう。学校の校庭が避難場所に、体育館が避難所に指定されるなど、同じ施設が両方を兼ねる場合もあります。

指定避難所は、災害発生直後の危険な状態がおさまり、ライフラインなどがある程度回復するまで開放される施設です。市区町村が地域の居住者の状況や地理的状況を考慮しながら、公的施設を指定していくのが一般的なスタイルです。
この指定避難所について、内閣府が2020年10月に調査したところ、全国約7万9000箇所の指定避難所のうち31%の2万4254箇所が浸水想定区域に立地していることが明らかになりました。そのほかの災害想定では、土砂災害警戒区域の中に15%、津波災害警戒区域の中に5%の指定避難所が立地していました。

指定避難所は、公民館や学校など、住民が生活する地域の中で歩いて避難できる施設を考慮して指定されています。公共施設は生活に便利なところにつくられるため、安全には敵地である高台には少ないためだろうと推測されますが、災害の種類によっては避難してはいけない場所があることを、日頃から把握しておく必要があるといえます。

指定緊急避難場所と指定避難所は、多くの場合、市区町村が発行するハザードマップに掲載されています。自宅や職場の周囲のどこに指定されているかを確認するとともに、その場所の周囲にはどんな災害のときに危険があるのか、次のようなハザードごとに避難のイメージをつくって、いざというときに安全な逃げ方ができるようにしておきましょう。
・洪水想定区域
・土砂災害警戒区域(イエローゾーン)/土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)
・津波浸水想定区域
・木密地区(建物倒壊・延焼火災の危険性が想定される区域)
・液状化

防災ログ事務局:南部優子