地震発生の切迫度、高まる 2022年長期評価による地震発生確率値
2022年1月31日
1月31日 政府の地震調査研究推進本部では、将来の地震の発生の可能性を評価する長期評価として、発生確率値を更新しています。本年も、2022年1月1日を基準日として算定された地震の発生確率値が更新されました。
今回の更新では、計算結果の四捨五入の具合により、変化が目立たない表記になるものが多くなりました。特に活断層の地震については、発生の感覚が数千年にわたるものもあり、あまり大きな値にならず、数値をみてもわかりづらくなっています。このため、地震の切迫度でランク付けした評価も導入されました。
【活断層における長期評価】
活断層における地震発生確率と切迫度のランクは次のような関係にあります。
・Sランク:0.1~3%未満
・Zランク:0.1未満
・Xランク:不明(すぐに地震が起きることが否定できない)
また、発生後経過率が0.7以上と、平均的な活動間隔の7割以上に達し、次の地震活動が近づいている活断層についてはランクの横に「*」がつけられています。確率が不明とされるXランクであっても、活断層が存在すること自体が大規模地震の発生する可能性が高いといえ、注意が必要です。
今年の調査結果により、最も切迫性の高い「Sランク」が全国に31あることが明らかとなりました。
その中でも特に高い(阪神・淡路大震災が発生する直前の確率である8%を超えている)のは次の断層帯です。
・「糸魚川-静岡構造線断層帯」の長野県の区間
・静岡県にある「富士川河口断層帯」
・熊本県の「日奈久断層帯」の一部
・長野県の「境峠・神谷断層帯」
・「中央構造線断層帯」のうち愛媛県の区間
・岐阜県と長野県にある「阿寺断層帯」
・神奈川県にある「三浦半島断層群」
・広島県と山口県の沖合の「安芸灘断層帯」
【海溝型地震の長期評価】
海溝型地震における地震発生確率と切迫度のランクは次のような関係にあります。
・Ⅲランク:26%以上
・Ⅱランク:3~26%以上
・Ⅰランク:3%未満
・Xランク:不明(すぐに地震が起きることを否定できない)
また、海溝型地震も活断層と同様に、地震後経過率が7割以上に達するものに「*」がつけられています。
今年の調査結果により、地震発生確率または地震後経過率が引き上げられたのは以下の地震です。
・千島海溝沿いの地震(十勝沖)
・日本海溝沿いの地震(青森県法要沖及び岩手県沖北部、宮城県の陸寄り)
・相模トラフ沿いの地震
・南海トラフの地震
・日本海東縁部の地震(北海道南西沖)
南海トラフ沿いの地震については、今後50年以内にマグニチュード8~9クラスの地震が発生する確率が、昨年の80~90%から90%以上に引き上げられました。
地震は、起きていない期間が長くなるほど、内部にエネルギーが蓄積され、大きな地震の発生する確率が高まります。
日本列島は、いつ・どこで・どんな規模の地震が発生しても不思議ではありません。いざというときに的確に対応できるよう、備えを進めておきましょう。
参考URL:地震調査研究推進本部「今までに公表した活断層及び海溝型地震の長期評価結果一覧」
https://www.jishin.go.jp/main/choukihyoka/ichiran.pdf
画像出典:地震調査研究本部「主な活断層の評価結果」「主な海溝型地震の評価結果」2022年1月13日公表 https://www.jishin.go.jp/evaluation/evaluation_summary
防災ログ事務局:南部優子