ラニーニャ現象は春の間に収束か 真冬の災害対策を見直しておこう

2022年2月16日

2月16日 気象庁は、2月10日「エルニーニョ監視速報」を発表しました。エルニーニョ監視海域の海面水温から当面の状態を予測するもので、速報によると、今後春の前半にかけて基準値より低いラニーニャ現象が続き、春の後半から次第に収束へと推移すると予測されています。今冬は、ラニーニャ現象発生時の特徴となる寒波や大雪などが現れており、今も関東甲信越地方を中心に、降雪や路面凍結などに注意を必要とする状態が続いています。

真冬に大災害が発生すると、厳しい寒さの中で被害への対処が迫られ、より過酷な状況になることが予想されます。阪神・淡路大震災も東日本大震災も、寒さが厳しい時期に大地震に見舞われました。揺れや津波といった現象による被害に加え、停電などが原因となって次のような事態が発生し、「助かるはずの命が失われる」おそれがあります。
・低体温症
・凍傷
・感染症拡大
・心臓疾患、脳卒中、リウマチなどの既往症の悪化
・脱水
・喘息、気管支炎
・体温の低下による思考力の低下

避難所として開放されやすい体育館などの公共施設は、暖房設備がほとんどなく床は底冷えします。仮に設備があったとしても停電していると機能しませんし、差し入れされる暖房機器も、毛布などの防寒用品も十分ではありません。在宅避難やオフィスでの帰宅困難対策にしても同様です。停電すると暖房機器が使えなくなり、二次被害が広がる恐れがあります。

四季による寒暖や乾湿の差が大きい日本においては、災害への備えを「通年」「冬季」「夏季」の3つに分けておく必要があります。冬季は特に、次のような寒さを凌ぐ準備を手厚くし、すぐに使えるようセットしておきましょう。
・防寒具(ジャンバー類、帽子、手袋など)
・高機能下着
・毛布、寝袋、エアーマット
・使い捨てカイロ
・ポータブル暖房器

特に、積極的に活用したいのがカセットコンロ・ボンベです。暖かいものを食べるたり飲んだりすることで体の中から温まります。また、ボンベを装着するタイプのミニ暖房機にも使えます。東京ガスの実験調査によると、4人家族が1日3食カセットコンロを使って調理した場合、1週間に必要となる量は約5本としています。その他、お湯をわかしたり暖を取ったりするのに必要な量も加味して備えておきましょう。

暦の上では春ですが、まだまだ厳しい寒さが続きます。これを機会に操作チェックを兼ねてカセットコンロで鍋や鉄板焼など、家族で楽しみながら備蓄の見直しを図るのもおすすめです。

防災ログ事務局:南部優子