「異常震域」の地震は異常ではない!? プレート地震の仕組みを知ろう
2022年2月28日
2月28日 2月21日、三重県南東沖で発生した地震が、遠く離れた関東・東北地方での揺れになって観測されました。このようなタイプの地震を「異常震域」の地震といいますが、震度分布が通常の想定と異なる場所で発生していることを指します。発生頻度は決して「異常」ではなく、度々観測されています。プレートに沿って発生する地震のパターンとして、冷静に対処できるようになっておきましょう。
2月21日午前7時12分頃、三重県南東沖で地震が発生しました。地震の規模を示すマグニチュード(M)は4.5、震源の深さは約350km。震源がかなり深い場所で発生した「深発地震」でした。この地震の影響によって揺れを観測したのは近畿や中部地方ではなく、関東・東北地方でした。いずれも震度1~2と大きくはありませんが、遠く離れた場所での地震発生に「異常震域での地震発生」という報道を見て不安になった方もおられるかもしれません。
異常震域の地震とは、プレートの非常に深い場所で発生した深発地震の揺れが、プレートを通って従来の震源域とされる範囲を超えて遠くの地域で震度を観測するものを指します。日本列島の付近には、多くのプレートがあり、ぶつかりあっています。陸側のプレートの地下深くまで海側のプレートが沈み込んでおり、非常に深いところで地震が発生すると(深発地震)、真上の地面には地震波があまり伝わらず、海側プレートの中のほうがよく伝わるため、遠く離れたところでの震度が大きくなります。
実際の震源域と震度分布がずれるため、「異常震域」と呼ばれているものの、発生する頻度は決して「異常」ではなく、たびたび観測される現象です。
近年では次のような地震がありました。
2021年09月14日 東海道南方沖 M6.2 深さ約450km 東京都千代田区などで震度3を観測
2019年07月28日 三重県南東沖 M6.6 深さ393km 宮城県で震度4を感想
一般的には震源が100kmよりも深い地震では、津波が発生する可能性は低くなり、またこのタイプの地震は余震の発生も少ないとされています。ただ、地震波の伝わり方によって、揺れが長く、小刻みになるため、通常の震度より感じやすくなるかもしれません。地震は地中の奥深くで発生した揺れが地表に伝わって起きる現象です。プレートや断層など、発生のメカニズムを知っておくことにより、冷静に発生状況を判断できるようになっておきましょう。
防災ログ事務局:南部優子