国交省と気象庁、防災気象情報に関する検討会をスタート
2022年3月7日
3月7日 いざというときにすばやく適切な行動をとれるよう、防災気象情報を再構築する検討会が立ち上がっています。
この検討会は、年々数が増えて複雑になる情報を整理し、シンプルでわかりやすい発表にすることを目標に、国土交通省水管理・国土保全局と気象庁が合同で開催するものです。学識者や報道関係者などが集まって議論し、これまで発表されている防災気象情報の体系的見直しを図ります。検討会は、約2年で10回程度開催し、2022年6月に中間とりまとめ素案を作成、2023年の秋から冬にかけて報告書を公表する予定です。
防災気象情報については、これまでにも何度か有識者による検討会が立ち上がっていました。
・防災気象情報の改善に関する検討会(2012~2013年)
・防災気象情報の伝え方に関する検討会(2018~2021年)
これらの検討会の中でも、種類が多い、名称が紛らわしい、どのように関連づいているのかわからないなど、複雑で一般には理解しにくく、緊急性を要する情報として活用しづらいといった指摘がなされ、その都度改善が図られてきました。
今回の検討会はさらに踏み込んで、抜本的な見直しを図り、体系を再構築しようとするものです。
防災気象情報は、災害につながる恐れのある現象が発生すると予想された場合に、現象のスケールを踏まえつつ、予測の可能性に応じて段階的に発表するものです。現象が発生するまでのリードタイムが短いほど、できるだけ時間や区域、程度をはっきりさせながら発表します。
こうした防災気象情報は種類が多く、発表された内容をどう読み解き、どの程度の危険性があるのかを判断するのが難しくなっています。
住民が避難行動をとる際に参考にする避難情報は、警戒レベル(白・黄・赤・紫・黒)と紐付いていて、市町村が発表する際には、防災気象情報と警戒レベルの関係をみながら避難指示などを出していくのですが、この紐付けもわかりづらく、情報体系や名称の整理が必要とされています。
新しい気象情報も次々出てきていて、覚えるものが多くてたいへんです。
例えば、第1回検討会で公開された調査によると、「顕著な大雨に関する情報についてのアンケート調査結果」では、「線状降水帯」という言葉を理解する人は6割以上いましたが、「顕著な大雨に関する情報」が線状降水帯について解説する情報であることを理解していた人は5割に届きませんでした。
検討会では、このような状況を踏まえ、できるだけシンプルでわかりやすい防災気象情報の体系を再構築し、すばやい情報収集・判断で安全な避難行動がとれるよう、議論を重ねていきます。
まずは夏に公表される中間報告に注目したいところです。
防災ログ事務局:南部優子