リモートワーク中の防災対策7割が未実施 防災ニュース
2022年3月8日
3月8日 株式会社識学が行った「企業の防災対策に関する調査」によると、リモートワーク中の防災対策について、7割近くの従業員が未実施もしくはわからないと回答していることがわかりました。また、災害時の対応についての意識では、管理職の約7割が認識しているのに対し、一般社員は半数以上が知らないと回答しており、意識の差が明確になりました。
調査は、従業員数20名以上の企業に勤める20~59歳の男女で、直近1年間に平均週1回以上リモートワークをしている従業員を対象に、2022年1月にインターネットにて実施されました。この中で、リモートワーク中の防災対策をしているかの質問に対しては、「している」と回答した従業員は30.7%のとどまり、「していない」「わからない」を合わせた未実施は69.4%と、7割近くにのぼりました。
リモートワーク中の防災対策として会社が行っていることを聞いた質問では、安否確認訓練の実施が75%と、最も多くなりました。リモートワークを想定したマニュアルの整備や自宅用の備蓄の配布は半数近くの企業が行っていますが、BCP(事業継続計画)の整備まで踏み込んだ対策を行っている企業は28.3%と低く、事業継続を意識したリモートワークの整備はまだ進んでいない様子がうかがえます。
また、災害発生時の対応方法についてしっているかを聞いた質問には、管理職では「知っている」と回答した割合が3分の2以上となったのに対し、一般社員は半数以上が「知らない」と回答し、災害への対応の認識の差が明確になっています。
BCPが有事の際に機能すると思うかの質問に対しては、「そう思わない」「あまりそう思わない」の回答が合わせて37.3%と、4割近くの従業員が「うちの会社は災害時には機能しなくなる」感じていることがうかがえます。
災害発生時、企業は従業員の安全配慮義務を負っています。これはリモートワークであっても同じ配慮が必要です。また、企業の存続に関わるBCP(事業継続計画)は、従業員が同じ対策方針を共有し、それぞれの場で各自の役割を果たすことによってはじめて実現可能となります。
今回の調査ではリモートワークで分散された場合の災害対応について、体制や行動手順、備蓄などの各項目を改めて見直し、BCPやマニュアルの整備、従業員の意識向上を図る訓練などを行っていくことが求められているといえそうです。
防災ログ事務局:南部優子