緊急地震速報 長周期地震動の予測も対象に|気象庁、2022年度後半から 防災ニュース

2022年6月20日

6月20日 気象庁は、2022年度後半の運用から、緊急地震速報の対象に長周期地震動の予測を加える予定です。現在、緊急地震速報(警報)は、地震波が2箇所以上の地点で観測され、最大震度が5弱以上と予想された場合に、震度4以上の予想地域を発表します。新たな運用では上記に加え、最大階級3以上の長周期地震動が発生すると予測された場合にも、階級3以上の予想地域を発表します。

【緊急地震速報について】
緊急地震速報は、気象庁が発表する警報・特別警報のひとつです。よく耳にする大雨や洪水の警報と同様、重大な災害が発生するおそれがあると予想された範囲に出されます。地震の場合は事前の予測ができないため、地中で地震波を観測してから地表が揺れるまで、わずかな時間しかありません。このため、緊急地震速報は特徴的な警告音を出し、警報をしらせます。

【長周期地震動について】
長周期地震動は、地震の揺れ(地震波)の周期が長く、ゆっくりと大きく揺れることをいいます。建物にはそれぞれ揺れやすい周期があり、地震波の周期と一致すると共振が起き、揺れが大きくなります。高層ビルの固有周期は比較的長いため、長周期地震動が発生すると建物が非常に大きな横揺れを起こし、しかも長く揺れ続けます。東日本大震災では、大阪市内(震度3)の高層ビルの高層階では、机にしがみついていないと立っていられないほど大きく揺れた一方で、ビルの1階ではほとんど揺れを感じなかったという証言が残っています。固定していないキャビネットや複合機などが数メートルも大きくスライドして壁やガラスを破ったり、転倒したり、エレベーターなどの施設被害を起こしたります。

長周期地震動の揺れの大きさは「長周期地震動階級」という指標で表されます。
新たに緊急地震速報で追加されるのは、下表のうち、階級3以上が予測される場合です。

画像出典:気象庁 「長周期地震動に関する情報について」より、長周期地震動階級関連解説表

 

気象庁のホームページには、高層ビルの高さによる長周期地震動の揺れの違いを説明した動画や、低層階と高層階の揺れの違いなどを実験した映像などが公開されています。自分がよく関わるビルがどのような揺れ方になるか、いざというときにどのような行動をとるべきかをイメージしておきましょう。

気象庁
長周期地震動に寄る高層ビルの揺れ方(アニメーション)
高層ビルの低層階と高層階の揺れの違い(E-ディフェンスの実験映像)
https://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/choshuki/index.html#yurekata

防災ログ事務局:南部優子


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