千島・日本海溝の巨大地震 特措法が改正されます 防災ニュース

2022年6月29日

6月29日 北海道から岩手県にかけての沖合にある「日本海溝」と「千島海溝」で想定される地震・津波に対する防災対策を特別強化する特措法の改正案(正式名称:日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案)が5月20日、公布されました。

日本海溝・千島海溝の特措法は、北海道から千葉県にかけての太平洋側で甚大な被害が想定される大津波への対応を強化することを柱とした議員立法です。日本海溝・千島海溝の地震では、マグニチュード9クラスの巨大地震の揺れと大津波により、最大で20万人近くの死者が発生すると想定されています。今回の法改正により、津波被害が甚大と想定される地域は、「特別強化地域」に指定され、避難施設や避難用道路の整備に関する国の補助率が2分の1から3分の2に引き上げられます。また、寒冷地のため救出されても低体温症で死亡する危険性があり、特別強化地域では、積雪や寒さなどへの配慮も新たに明記されました。

【特別措置法(特措法)】
大規模災害となることが想定される事象については、災害事象別に特措法が制定されています。自然災害に対しては、災害全般への対策の基本方針を描く「災害対策基本法」のもと、個別の大規模・緊急の事象を想定した特措法が制定されます。日本海溝・千島海溝の特措法以外では、以下のようなものがあります。

・地震防災対策特別措置法(平成7年、平成28年改正)
・大規模地震対策特別措置法(昭和53年、平成30年改正)
・南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法(平成14年、平成30年改正)
・首都直下地震対策特別措置法(平成25年、平成30年改正)
・活動火山対策特別措置法(昭和48年、平成27年改正)
・豪雪地帯対策特別措置法(昭和37年、平成27年改正)
このほか、原子力災害対策に関するものやテロ対策に関するものなどもあります。

これらの特措法では、災害の範囲や地域などを指定したり、交付金や国庫補助率のかさ上げ、規制の特例などにより事前対策の推進を図ったり、緊急の事態が発生した場合に中枢機能を維持するための緊急措置を講じる対策計画を立てたりしています。

いざとなったときに国や自治体はどう動くことになるのか、社会活動にどのような影響があるのかは、特措法のような措置を定めた法律の規定により左右されていきます。
こうした機会を利用して、自分たちの地域に大きな影響を与えそうな災害について、どんな法律があるのかを意識して対策を考えてみましょう。

画像出典:内閣府 日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震対策の概要

 

防災ログ事務局:南部優子


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