気象災害が集中する7月 土砂災害に注意を 防災ニュース

2022年7月11日

7月11日 7月は1年のなかで大きな気象災害が発生しやすい月です。洪水や内水氾濫だけでなく、大雨の影響を受けての土砂災害が発生しやすく、多くの死者を出しています。土砂災害防止広報センターが発表した土砂災害を伴う主な災害を事象別にみると、大雨による土砂災害の発生は7月が突出して多くなっています。

土砂災害は、大雨や集中豪雨などを引き金に、突発的に大きな破壊力で襲いかかってきます。日本列島は山林の面積が多く、2000m級の山脈が列島を分断するなど、雨雲が折り重なるようになって雨が集中します。また急勾配の山が多く、土砂災害が発生しやすい環境にあるといえます。

土石流
長雨や集中豪雨などの影響でゆるんだ山肌の土砂が一気に下流へ押し流される現象です。規模によりますが、時速は20~40kmと自転車より速く、走って逃げても間に合いません。

崖くずれ
斜面が突然崩れ落ちる現象です。大雨のほか、地震によっても発生します。予告なく発生し、崩れるスピードが早いのが特徴で、崩れた土砂は斜面の高さの2~3倍も遠くまで届くこともあります。

地すべり
斜面が大きなかたまりで下へ滑り落ちるように移動する現象です。表面部分が崩れたものを表層崩壊といい、表面だけでなく内部の地盤もいっしょに崩れたものを深層崩壊といいます。大雨や雪解けのときに発生しやすく、一度に広い面積が崩れるので、被害の範囲が大きくなります。

 

土砂災害が発生するおそれのある場所は、「土砂災害危険箇所」として指定されています。
・土石流危険渓流
・急傾斜地崩壊箇所(崖くずれ危険箇所)
・地すべり危険箇所

また、危険箇所に対し住民に危険が及ぶ恐れがある区域は、警戒すべき区域として、次の2つのエリアにわけて指定されています。自治体から土砂災害のハザードマップとして発表されているものも多いので、確認しておきましょう。

●土砂災害警戒区域(イエローゾーン)
 土砂災害が発生するおそれがあり、発生した場合に住民に危害が生じるおそれがある区域

●土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)
 イエローゾーンのうち、土砂災害が発生した場合に建築物に損壊が生じて住民に著しい危険が生じる恐れがある区域

大雨が続くなど、土砂災害が発生しそうな状況になると、気象庁は、土砂災害警戒情報などで危険を知らせる情報を出します。また市区町村は、気象情報をもとに避難指示などを発令します。危険度の色は、低い方から順に、白(水色)、黄色、赤、紫、黒と、危険度が増していきます。ここで注意したいのは、逃げ時は「紫(高齢者は赤)」だということ。最後の「黒」の時点は、もう避難が間に合わない状態まで危険が迫ってきています。

表出典:内閣府「避難情報に関するガイドライン(令和3年5月改定、令和4年6月更新)」より、警戒レベルの一覧表

 

まもなく大雨の季節がやってきます。以下に、気象庁が紹介する安全確保の行動の目安を、土砂キキクルの例で示します。今からどのタイミングでどこに逃げるかをよく話しあっておきましょう。

出典:福岡管区気象台「キキクル(危険度分布)「黒」の新設と「うす紫」と「濃い紫」の統合 令和4年6月から」

 

防災ログ事務局:南部優子


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