通信障害は最悪の想定を 大規模通信障害の事故から学ぼう 防災ニュース

2022年7月15日

7月15日 大規模で長時間にわたる通信障害が発生し、改めて通信機能の確保について考える機会となりました。7月2日未明に発生した通信障害は大規模な輻輳状態を引き起こし、携帯電話の音声通話を中心につながりづらい状態が続きました。最大で3915万回線に影響が及んだとされています。

通信障害は、個人サービスが概ね回復したのが4日午後、法人サービスも含めて完全復旧したのが5日午後と、86時間と長時間にわたりました。通信障害が発生していたのは土曜日の未明から月曜日の午後にかけてと休日が中心でしたが、社会的混乱は大きく、携帯業界としては過去最大の規模でした。

通信障害により、100番や119番などの緊急通報がかけられないなどの深刻な被害が発生しました。気象庁では、この通信障害の影響により、全国およそ1300箇所のアメダス(気温・雨量などの観測システム)の観測点のうち、およそ900の観測点でデータが正常に受信できないなどの影響を受けた可能性があるとしています。

もしこれが平日の4日間だったら、経済活動への影響がさらに大きくなったかもしれません。現在のビジネスや社会活動において、通信の機能はなくてはならないものです。大規模な通信障害は、必ず起きる災害として考え、対策をたてておく必要があります。

通信環境に影響を与えるのは通信事業者の技術的な問題だけではありません。太陽の表面で起きている「太陽フレア」という爆発現象により電磁波や電気を帯びた粒子などが大量に放出されて影響を与えることもあります。

総務省が行った有識者会議では、100年に1度といった大規模な太陽フレアが通信に与える被害想定では、最悪の場合、2週間ほど断続的に通信障害が発生し、GPSや気象データ、管制レーダーの精度低下、大規模停電、するなどの可能性が指摘されています。有識者会議では、太陽フレアによる影響を新しい警報の基準を導入するなどして危機管理の対象とし、宇宙天気予報士の創設が必要などと提言しています。

宇宙天気予報は現在、毎日サイト上で発表されています。通信の状態に影響がないかを確認する週間をつけておくとよいでしょう。

また、通信の状態は運営母体(通信事業者)や手段ごとに異なるため、以下のような対策で通信環境の冗長化を図り、断続的な通信障害が長期にわたる場合でも予備の通信手段をうまく使いながら情報のやりとりができるよう備えておきましょう。
・デュアルSIMで回線を二重化
・複数のデバイス、キャリア分散で多重化
・フリーWifiサービスなどアクセス情報の整備
・公衆電話など別系統のアクセス手段の確認

画像出典:宇宙天気予報サイトより

画像出典:宇宙天気予報サイトより ]
予報・太陽のようす https://swc.nict.go.jp/

防災ログ事務局:南部優子


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