関東・東北豪雨(鬼怒川の水害)で国に賠償命令の判決 防災ニュース

2022年7月29日

7月29日 一級河川の決壊により甚大な被害を招いた関東・東北豪雨で、国の河川管理をめぐり賠償を求めていた裁判で、一審で一部賠償を命じる異例の判決が出されました。関東・東北豪雨は、2015(平成27)年9月7日に発生した台風18号と前線の影響による豪雨災害です。台風18号から変じた低気圧や先行して進んでいた17号からの湿った空気が次々と流れ込み、多数の線状降水帯が発生。西日本から北日本にかけての広い範囲で大雨となりました。特に関東地方と東北地方で記録的な大雨を観測し、茨城県常総市では一級河川の鬼怒川の堤防が約200mにわたって決壊し、建物流失、広域浸水、長期淡水といった大規模被害となりました。死者3名、災害関連死13名、住宅浸水約1万棟、逃げ遅れて救助された人は4,000人を超えるといわれています。浸水も1週間以上続くなど、生活への影響も甚大でした。

鬼怒川の水害は、国管理の一級河川が大規模な決壊を起こしたことで当時衝撃を与えました。河川の整備が進み、長らく発生していなかった河川決壊は想定外だったため、常総市では対応に遅れが生じ、市災害対策本部での情報収集・共有が混乱して避難指示に影響したり、市役所自体が浸水して機能停止になったりと、大きな課題を残しました。

内閣府 2015年(平成27年)関東・東北豪雨による災害 より

 

豪雨災害による被害から3年後、河川整備をめぐって国を相手取った裁判が起こされました。鬼怒川の決壊は堤防の低さにあり、被害が発生するおそれがあったにもかかわらず適切な対策をとらなかったとして3億円あまりの損害賠償を求めたものです。この裁判で争点になったのは、鬼怒川の堤防の整備計画や河川管理が適切なものだったかです。主に、堤防の高さが地盤沈下で低くなっていたことを知りながら他の地域より整備を優先させなかった点と、太陽光パネルを設置するために堤防代わり(いわゆる自然堤防)となっていた砂丘林が削られ被害を招いたことに対し、事業者による掘削が自由にできない区間に指定すべきだったとする点が争われました。

水戸地裁は、国の責任を一部認め、原告9人に対し計約3900万円を支払うよう国に命じました。判決によると、砂丘について、国が掘削などを制限する河川区域に指定するのを怠った結果、民間事業者による掘削を招き、水害につながったと判断しました。もし掘削を防げていれば浸水被害が小さくすんだとして、河川管理に瑕疵があったことを認めたのです。一方で、堤防が低くなっていたのに改修を後回しにした点については、鬼怒川の改修計画が格別不合理とはいえないとし、住民側の主張を退けました。

国土交通省 鬼怒川の主な災害より

 

防災ログ事務局:南部優子


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