【8月の災害】平成26年8月広島豪雨は土砂災害対策法を変えた 防災ニュース
8月28日 今から8年前、広島県で豪雨による甚大な土砂災害が発生しました。平成26年8月広島豪雨です。この災害は、土砂災害対策法の改正に影響を与えました。2014年7月末から8月下旬にかけて、2つの台風と前線の停滞により、全国で大雨の振りやすい天候が続いていました。広島豪雨による土砂災害はそのさなか、8月20日未明の集中豪雨によって引き起こされました。この集中豪雨は「バックビルディング現象」と呼ばれるもので、積乱雲が次々と発生して一列に並び、集中的に雨が降り続きました。広島市内では、最大で1時間雨量121mm、24時間累積雨量287mmが観測されています。寝込みを襲った土砂災害は、広島市内で土石流107箇所、がけ崩れ59箇所。死者77名(災害関連死を含む)、負傷者68名の犠牲者が出ました。
広島の山地は、広島花崗(かこう)岩という岩石からできており、風雨にさらされることで「真砂土(まさど)」と呼ばれる砂のような土になります。真砂土は水を含むと崩れやすいため、土砂災害が起こりやすいとされています。これまで大きな土砂災害が何度も発生し、法律の制定のきっかけにもなっています。
・1969年 昭和42年7月豪雨(死者159名)⇒急傾斜地法制定
・1999年 平成11年6.29豪雨(死者32名)⇒土砂災害防止法制定
2014年の土砂災害は、土砂災害防止法の改正のきっかけとなりました。基礎調査結果を速やかに公表することが明示され、市町村の地域防災計画に避難経路を位置づけるなど、警戒避難体制を強化するとともに、土砂災害警戒情報の市町村への通知と一般住民への周知が義務付けられました。
広島の土砂災害は特徴的ではあるものの、決してこの地域だけの話ではありません。日本の地形は約7割が山地や丘陵地で、列島には背骨のように山脈が連なり、雨雲がぶつかると雨が集中しやすくなります。海へと流れ着く河川は短く、急峻です。人々の可住地は、河川や海沿いの開けた箇所や、山に囲まれた盆地などに密集し、土砂災害への警戒が必要な地域は全国に広がります。
みなさんの住まいや通勤・通学先の土砂災害リスクがどうなっているか、どこへ避難すべきかなどハザードマップで事前によく確かめておきましょう。

写真出典:広島県『8.20土砂災害復旧誌』より、八木3丁目全景
防災ログ事務局:南部優子