災害時の通信障害対策になるか 事業者間ローミングの検討始まる 防災ニュース

2022年10月17日

10月17日 総務省が、災害時の通信障害対策として「非常時における事業者間ローミング等に関する検討会」を設置し、この秋から事業者間ローミングなどの方策の検討を始めました。9月28日に第1回検討会、10月4日に第2回検討会が行われています。合計5回の会合をもち、次の項目について検討を行い、12月下旬には基本的な方向性がとりまとめられる予定です。
(1)事業者間ローミングの対象とする通信の範囲(緊急通報、一般の通話、データ通信)
(2)事業者間ローミングを発動する要件(災害、通信事故、その他)と運用ルールの在り方
(3)WiFiの活用など事業者間ローミング以外の非常時の通信手段の在り方
(4)その他

ローミングとは、携帯電話事業者が連携し、契約事業者以外の事業者が有するネットワークでも通信を行えるよう融通し合うしくみを言います。海外で提携キャリアを利用した「海外ローミング」は聞いたことがあるという人も多いでしょう。
携帯電話サービスは生活上も経済活動上も不可欠なライフラインです。特に緊急通報は、約6割が携帯電話による発信となっており、非常時に確実な通報できる環境整備は不可欠なものといえます。このため、総務省は、自然災害や通信障害が発生した際の非常時に、一時的に他の事業者のネットワークを利用する「事業者間ローミング」のしくみを整備するための検討会を設置しました。事業者間でのローミングにより、特定の事業者の通信設備にトラブルが発生しても他のキャリアの設備を利用し合うことで通信を確保しようという試みです。

第2回検討会で公表された「携帯電話の通信障害に関するアンケート調査」によると、事業者間ローミングについては、通信障害の影響を受けた人では86.2%、影響を受けなかった人でも72.1%が、事業者間ローミングに期待していることがうかがえます。

画像出典:総務省 非常時における事業者間ローミング等に関する検討会 第2回配付資料2-2「携帯電話の通信障害に関するアンケート調査」より

 

また、事業者間ローミングで実現を希望する機能としては緊急通報が最も大きく、他を大きく引き離して約3分の2の人が1位と回答しています。

画像出典:総務省 非常時における事業者間ローミング等に関する検討会 第2回配付資料2-2「携帯電話の通信障害に関するアンケート調査」より

 

一方で災害などの通信障害に対する平時の備えは6割以上が「特に備えていない」と回答しています。

画像出典:総務省 非常時における事業者間ローミング等に関する検討会 第2回配付資料2-2「携帯電話の通信障害に関するアンケート調査」より

 

災害時の通信は、安否確認や状況の把握、指示連絡に不可欠であり、電力について重要なインフラともいえます。総務省の検討はまだ始まったばかりです。いつ災害が発生しても動けるよう、日頃から通信障害の発生への心構えをもって備えておきましょう。

 

画像出典:総務省 非常時における事業者間ローミング等に関する検討会 第1回配付資料1-2「本検討会の検討事項等について」より

参考:総務省 非常時における事業者間ローミング等に関する検討会のページ
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/roaming_kentoukai/index.html

 

防災ログ事務局:南部優子


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