防災対策に女性の参画を 防災ニュース

2022年11月30日

11月30日 防災対策を進めるにあたり、忘れてはならないのが「女性の視点」です。あたりまえのように思えるかもしれませんが、実際のところ、女性をとりまく災害時の環境はまだまだ過酷なのです。

2016年に起きた熊本地震の際、エコノミークラス症候群で入院した患者の実に77%、4人に3人以上が女性だったという調査結果もあります。避難所に仮設トイレがあっても、男女別でない、防犯上不安、衛生環境が悪いなどの理由でトイレに行く回数を減らすため、水を飲むのを控えたり我慢したりして、血栓ができやすくなり、発症につながったのではないかと考えられます。
そのほかにも、2011年の東日本大震災時には、配給される下着のサイズが合わない、避難所で隣に知らない男性がいて眠れない、生理用のナプキンがほしいのに物資の管理をするのが男性で取りに行けない、男性が注視する中で授乳するのがストレスになったなど、さまざまな問題がみられます。

主なものを挙げただけでも、
・育児や介護、女性用品の種類が少なく、サイズや用途が合わない
・着替えやトイレ、授乳などのプライバシーや衛生面で環境が悪化する
・不眠や膀胱炎、婦人科系の病気に罹患する
・炊き出しや清掃など、女性がすべき仕事とみなされて過度な負担がかかる
・性暴力やDV、性的ハラスメントなどの犯罪に巻き込まれる
など、深刻な被害をもたらすものもあり、環境の改善を訴えると「わがままだ」とあしらわれるケースが後を絶ちません。

こうした被災地の状況を踏まえ、日頃からの防災対策では、女性が参画した検討を行い、計画づくりや事前対策の整備を行っていくことが重要となってきます。ところが、2022年5月に内閣府が発表した調査では、1741ある自治体のうちの6割以上が、防災危機管理の部署に女性職員がまったくいないことが判明しました。災害対応といえば救助や救急処置など力仕事がメインで、男性中心で回すものという固定観念では、大規模で長期化する災害への対応は困難といえます。

身近なところの話し合いからでも、女性の参加割合を増やしていきましょう。女性の視点を取り入れた取組みは、災害といった非常時に限らず、ふだんのまちづくりや地域づくりを進める上でも大きなメリットがあります。災害に強いコミュニティは、ふだんの活動でも強いのです。みなさんの組織には、何割の女性が活動に関わっていますか? いまいちど周囲をよく見回して、多様な視点から防災活動ができているかを確認していきましょう。

防災ログ事務局:南部優子


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