南海トラフ巨大地震が連続して発生する確率を算出|東北大学 防災ニュース

2023年1月16日

1月16日 東北大学の研究チームは、南海トラフ巨大地震の想定域でマグニチュード8以上の大規模地震が発生した場合に同じ規模の地震が連続して起きる確率を算出しました。それによると、後発地震が1週間以内に発生する確率は約2~77%、平時の確率と比べて約100~3,600倍の高さになることがわかりました。南海トラフ沿いでは地震が連続して発生する可能性が高いとされ、後発地震への注意を呼びかける「南海トラフ地震臨時情報」の仕組みがあります。今回の研究成果はその目安となる科学的根拠を定量的に示すものとなりました。

駿河湾から日向灘までの太平洋側に長く横たわる南海トラフでは、これまで100~150年ほどの間隔で繰り返し地震が発生してきました。現在は、今後30年以内に発生する確率が70~80%と、大規模地震の発生が切迫しているとされています。現在の技術では地震の発生を事前に予知することは困難ですが、海溝型の場合、プレートの動きに何らかの異常があれば地震が発生しやすくなっていると評価することはできます。南海トラフの震源域ではこれまでにも時間差で連続して地震が発生した例(1854年安政東海地震・南海地震は32時間の間隔、1944年昭和東南海地震と1946年昭和南海地震は2年の間隔)があります。

これらを踏まえ、気象庁では、南海トラフの震源域で、次の3つの異常な状態を観測した場合に、「南海トラフ地震臨時情報」を発表する仕組みを設けています。
・想定震源域全域の半分程度を破壊するM8.0以上の地震が発生した場合(半割れケース)
・想定震源域の一部でM7.0以上M8.0未満の地震が発生した場合(一部割れケース)
・異常な「ゆっくりすべり」が起こった場合(ゆっくりすべりケース)

上記3ケースのうち、「半割れケース」が最も連続して巨大地震(後発地震)の発生する確率が高いとされています。今回の東北大学の研究は、この「半割れケース」についてのシミュレーションを行いました。算出結果によると、後発地震が発生する確率は、6時間以内で最大53%(平時の70,000倍)、1日以内で最大64%(21,000倍)、3日以内で最大72%(7,900倍)、1週間以内で最大77%(3,600倍)、2週間以内で最大81%(2,000倍)などとなっています。

南海トラフ沿いで大規模地震が発生すると、気象庁から「南海トラフ地震臨時情報」が出され、特に連続する巨大地震発生への備えを行い、命を守る行動をとるよう注意の呼びかけがあります。今回のシミュレーション結果はそれを発生確率の形で定量的に示したものといえます。地震の発生を正確に予測することはできません。後発地震が発生するかどうかも不確実です。ただ、南海トラフの震源域では、巨大地震が連続で発生する可能性があることがわかってきており、このような確率評価を目安にして事前対策を行うのはとても重要です。

防災ログ事務局:南部優子


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