阪神・淡路大震災から28年。あらためて防災を見直す機会に 防災ニュース

2023年1月17日

1月17日 1995(平成7)年1月17日午前5時46分。まだ暗い明け方に突然襲った地震は、神戸と淡路島を中心にマグニチュード7.3を観測し、神戸市で震度7になるなど、巨大な災害になりました。この地震による被害は、死者6,434名、行方不明者3名、負傷者43,792名。住家全壊約10万5,000棟、半壊約14万4,000棟に上りました。また、ライフラインや交通機関も停止して甚大な被害が発生しました。

直下型地震だった阪神・淡路大震災の死因の多くは、建物の倒壊による圧死(83%)と大規模火災による焼死(13%)です。都市部の木密住宅地での耐震・耐火の重要性が改めて浮き彫りになり、この後の建築基準法の改正につながりました。

また、この地震は全国各地からのべ130万人もの人たちが被災地にかけつけ、ボランティア活動を行ったことでも知られ、後に特定非営利活動促進法(NPO法)が制定されました。このため、阪神・淡路大震災の年は「ボランティア元年」とも言われています。この後各地で発生した地震での教訓を踏まえながら、活動が徐々に整備されていきました。今年は、NPO法が成立してからちょうど四半世紀になります。

阪神・淡路大震災をきっかけにして、それまで風水害対策が中心だった災害対策が大きく見直される転換点となりました。先述したきっかけも含め、この地震後に始められたものが多くあります。
・地震の長期評価、地震動予測地図の発表
・自動的に震度を推定する計測震度の導入、全国の自治体への計測震度計の整備
・建築物の耐震性能強化に関する法律の整備、建築基準法の耐震基準の改訂
・被災建築物の応急危険度判定、罹災証明のための住家の被害認定調査の体制整備
・ボランティア活動促進のため、特定非営利活動団体の法人化(NPO法人の制定)

また、国や自治体も地震対策の制度や体制を見直しました。地域防災計画に地震編が加わり、対応が強化されるようになったのも、この地震がきっかけでした。地元の消防など行政だけでは到底対応しきれない大規模災害の実態をふまえ、地域コミュニティや企業など、「自助」「共助」「公助」による支え合いの重要性がクローズアップされるようになりました。

さまざまな震災対応の契機となった阪神・淡路大震災から28年。ずいぶん年月が流れました。街の中では、激震の被害の痕跡は薄れ、復興が完了したように見えるかもしれません。しかし、兵庫県と被災12市には、まだ阪神・淡路大震災関連の地方債が残り、いまもなお返済が続いています。完済にはまだ10年以上かかる見通しです。

甚大な被害をもたらす災害は、一度発生すると数十年という長い年月にわたり、被災地へさまざまな形で大きな影響を及ぼし続けます。阪神・淡路大震災は記録と対応の検証がさまざまな機関で行われ、公開されている情報がたくさんあります。日本は必ずどこかで次の巨大地震が襲ってきます。貴重な実災害の教訓を踏まえ、いま一度周囲の対策を棚卸ししてみてはいかがでしょうか。

<阪神・淡路大震災の代表的なアーカイブ>

●内閣府防災 阪神・淡路大震災教訓情報資料集(フェーズごとに対応の教訓が掲載されている)
http://www.bousai.go.jp/kyoiku/kyokun/hanshin_awaji/data/index.html

●内閣府防災 阪神・淡路大震災 総括・検証 調査シート(初動・応急・復旧対応の検証)
http://www.bousai.go.jp/kensho-hanshinawaji/chosa/index.htm

●神戸市 阪神・淡路大震災「1.17の記録」
http://kobe117shinsai.jp/

●神戸大学附属図書館 デジタルアーカイブ 震災文庫
(※2022年8月にリニューアルされ、URLが以前と変更されています)
https://da.lib.kobe-u.ac.jp/da/eqb/

●NHK 阪神・淡路大震災特集サイト
https://www.nhk.or.jp/kobe/shinsai/

●神戸新聞社 【特集】阪神・淡路大震災
https://www.kobe-np.co.jp/rentoku/sinsai/

写真出典:神戸市 阪神・淡路大震災「1.17の記録」より http://kobe117shinsai.jp/

防災ログ事務局:南部優子


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