【2月1日運用開始】緊急地震速報に「長周期地震動」が追加/推計震度分布が高解像度化|気象庁 防災ニュース

2023年1月30日

1月30日 気象庁は、2月1日12時から、緊急地震速報の発表基準の中に長周期地震動の階級を追加します。それに伴い、これまで地震発生から20~30分程度を要していた長周期地震動の観測情報を、地震発生から10分程度で発表するよう迅速化します。あわせて2月1日より、震度5弱以上を観測した際の推計震度分布図について、250mメッシュに高解像度化されるとともに、緊急地震速報の震度予測技術を活用した高精度の推計による情報提供が始まります。

【長周期地震動】
長周期地震動は、大きな地震が起きたときに生じる、長い周期の揺れを指します。建物にはそれぞれ揺れやすい周期があり、地震波の周期と一致すると共振が起き、揺れが大きくなります。高層ビルの固有周期は比較的長く、長周期地震動が発生すると建物が非常に大きな横揺れを起こし、しかも長く揺れ続けます。東日本大震災では、遠く離れた大阪市内(震度3)の高層ビルの高層階で、机にしがみついていないと立っていられないほど大きく揺れた一方で、ビルの1階ではほとんど揺れを感じなかったという証言が残っています。固定していないキャビネットや複合機などが数メートルも大きくスライドして壁やガラスを破ったり、転倒したり、エレベーターなどの施設被害を起こしたります。

画像出典:気象庁 「長周期地震動に関する情報について」より、長周期地震動階級関連解説表

長周期地震動の揺れの大きさは「長周期地震動階級」という指標で表されます。
新たに緊急地震速報で追加されるのは、下表のうち、階級3以上が予測される場合です。

気象庁のホームページには、高層ビルの高さによる長周期地震動の揺れの違いを説明した動画や、低層階と高層階の揺れの違いなどを実験した映像などが公開されています。自分がよく関わるビルがどのような揺れ方になるか、いざというときにどのような行動をとるべきかをイメージしておきましょう。

【緊急地震速報】
緊急地震速報は、気象庁が発表する警報・特別警報のひとつで、重大な災害が発生するおそれがあると予想された範囲に出されます。地震の場合は事前の予測ができないため、地中で地震波を観測してから地表が揺れるまで、わずかな時間しかありません。このため、緊急地震速報は特徴的な警告音を出して報せます。現在、緊急地震速報は、最大震度が5弱以上と予想された場合に、震度4以上が予想される地域を発表します。新たな運用ではこれに加え、最大階級3以上の長周期地震動が発生すると予測された場合にも、階級3以上の予想地域を発表します。

【推計震度分布図の高解像度化・高精度化】
気象庁では、震度5以上の地震が発生した場合に、観測点のない地域を含む震度分布を推計して震度分布図を提供しています。2月1日から、地盤情報を1kmメッシュから250mメッシュになり高解像度化されます。また、停電などで震度データが入手できない観測点があっても、緊急地震速報の震度予測技術を活用して精度を高めた推計震度を出せるようになります。
気象庁は、今回の高度化により、地震発生後から15分後を目安に、推計震度分布の情報提供・ホームページへの掲載を行うとしています。さらに、地図情報と簡単に重ね合わせのできる作図用データも提供されます。

防災ログ事務局:南部優子


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