防災分野における個人情報の取り扱いの指針を公表|内閣府 防災ニュース

2023年4月3日

4月2日 内閣府が、「防災分野における個人情報の取扱いに関する指針」をとりまとめ、公表しました。災害発生時の個人情報をどう取り扱えばよいのかについての基本的な考え方や、具体的な事例を示したもので、国として初めての指針となります。

個人情報については、2021年度の個人情報保護法の改正により、それまで民間事業者・行政機関・独立行政法人・地方公共団体のそれぞれで定められていたルールが個人情報保護法集約・一本化されています。この法改正のうち、デジタル社会形成整備法第51条による改正部分(地方関係)の施行日が2023年4月1日で、これをもって自治体もすべて個人情報保護法の規律に服することになります。
こうした個人情報保護法制の一元化と、一方で災害時の初動対応や被災者などへのきめ細かな支援を行うためにも、災害対応における個人情報の整備が望まれる流れを受け、内閣府で「防災分野における個人情報の取扱いに関する検討会」が設置視され、今回の指針の公表に至りました。

指針では、災害時の人命救助(避難生活支援や災害関連死防止なども含む)を果たすために個人情報をどう利活用するかという支店から、次のような基本方針を示しています。

<本指針の基本的な考え方>
●発災当初の72時間が⼈命救助において極めて重要な時間帯であるため、積極的な個⼈情報の活⽤を検討すべきであること。
●⼀⽅で、個⼈情報の活⽤においては、個⼈情報保護法や災害対策基本法に則り、個⼈の権利利益を保護する必要があること。例えば配偶者からの暴⼒(DV)やストーカー⾏為の被害者等、特に個⼈の権利利益を保護する必要がある者には⼗分な配慮が必要であること。
(防災分野における個⼈情報の取扱いに関する指針 P3)

指針では、次のような例を挙げて、災害対応時の個人の映り込みや氏名の公表などに関する考え方を示しています。
事例1:河川カメラを活用した避難誘導
事例2:災害対策本部室の大型モニターでの映像共有
事例3:ドローンの映像を災害情報共有システムで共有
事例4:一時滞在施設における受入者名簿の提供(施設管理者が民間事業者の場合)
事例5:一時滞在施設における受入者名簿の提供(施設の管理者が地方公共団体の場合)
事例6:応急仮設住宅の入居者への生活支援・見守り・心のケア支援等
事例7:外国人支援のための避難者名簿提供
事例8:安否不明者の氏名等の公表
事例9:被災した可能性のある方の名簿提供
事例10:車のナンバープレートから特定した安否不明者の名簿提供
事例11:ハザードマップと避難行動要支援者名簿に記録等された情報の重ね合わせ
事例12:災害時における避難行動要支援者の名簿情報及び個別避難計画情報の提供
事例13:平常時における避難行動要支援者の名簿情報及び個別避難計画情報の事前提供
事例14:都道府県と市町村間における被災者台帳の共有

防災ログ事務局:南部優子


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