能登半島で震度6強の地震 余震も相次ぐ 防災ニュース

2023年5月9日

5月9日 連休中で帰省や観光客による人の移動が多い祝日、大きな地震が発生しました。5月5日の午後2時42分ごろ、石川県能登地方で震度6強を観測する地震がありました。地震の規模はマグニチュード6.3(推定)、震源の深さは約10km。この地震による最大震度は、石川県珠州市で震度6強、能登町で震度5強、輪島市で震度5弱を観測しています。津波の心配はありませんでしたが、余震が相次いでおり、同日の夜9時58分頃にも最大震度5強の揺れを観測しています。

この地震により、5月8日現在、珠洲市内で転落による死亡者が確認されたほか、重軽傷者34人の被害が発生しています。また地震発生時の5日から8日にかけては、本州に前線を伴った低気圧があり、西日本から東北の広い範囲にかけてまとまった雨となり、各地で5月としては最も多い雨量を記録しました。このため、地震と水害の複合に警戒する必要が生じました。珠洲市では、災害土砂災害のおそれがあるとして、土砂災害警戒区域にある9つの地区740世帯1630人を対象に避難指示が発令されました(8日午後5時すぎに解除)。

能登半島では、これまでにも何度か大きな地震が発生しています。2007年には、マグニチュード6.9(計測震度で最大6.4)を観測したこともあります。余震も多くみられました。地方における地震では、人口の違いから見かけ上被害数が少なく感じられますが、その後の復興などについて次のような多くの課題があり、地震災害の影響が長期にわたって地域にダメージを与えることが指摘されています。
●過疎化の問題が顕在化(地震による転出で地域の機能が保てなくなる)
●交通アクセスや温泉地などの被害で観光資源に大きなダメージ(復興対策への影響)
●被害のない場所での風評被害が甚大(情報発信に課題)
●伝統的なまちなみの被災に対する再建方策(被災者生活再建支援法の対象外のものなど)

さらに、地方では山林の割合が高くなるため、今回のように土砂災害による孤立集落の発生などの危険性も高くなります。近年の気象災害の激甚化を考えると、今回の地震でも懸念されたような大雨との複合被害を警戒する対策が求められているといえるでしょう。

これから夏にかけて、出水期に入ります。地震はいつどこで発生しても不思議ではありません。いまいちど身の回りを見直し、耐震対策や備蓄などの事前の備えを強化しておきましょう。

防災ログ事務局:南部優子


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