エルニーニョ現象が秋まで継続する可能性が高くなる(エルニーニョ監視速報) 防災ニュース
2023年6月14日
<6月14日掲載>気象庁は6月9日、エルニーニョ監視速報を発表しました。現在発生しているエルニーニョ現象が秋にかけて継続する可能性が90%と高くなっています。エルニーニョ現象が発生すると冷夏となって、降水量は西日本の日本海側で多くなりやすいといわれていますが、今年の場合に限っては、今年の年明けごろまで長く続いたラニーニャ現象の影響を受けるため、高温傾向はかわらない見通しとされています。
エルニーニョ現象は、太平洋赤道域の中部から東部で海面水温が平常時よりも高くなり、熱帯域が東へ移動します。このため、夏季は西太平洋熱帯域の海面水温が低下し、日本付近の太平洋高気圧の張り出しが弱くなり、気温が低く、日照時間が少なくなる、西日本の日本海側では降水量が多くなる傾向があります。
ただ、今回のエルニーニョ現象については、2021年の秋から2023年の初頭まで続いたラニーニャ現象の影響を受けていることや、近年の地球温暖化の影響もあって、高温傾向が続き、降水量の見通し見変わらないとされています。
気象庁が5月23日に発表した「向こう3か月の天候の見通し」でも、暖かい空気に覆われやすい見通しで、向こう3カ月の気温は、沖縄・奄美で高く、東・西日本で平年並みか高い、降水量は全国的にほぼ平年並みとしています。
「エルニーニョ現象だから冷夏だ」と思い込まず、熱中症対策など通常の夏季対策をとりつつ、気象庁の観測情報などをこまめにチェックして見通しを立てておきましょう。
<予想される海洋と大気の特徴>
・ 地球温暖化の影響により、地球全体で大気の温度は高い
・ 上空の偏西風はエルニーニョ現象により日本付近でやや南を流れる時期もあるものの、ほぼ平年の位置を流れる
・ 長引いたラニーニャ現象の影響が残り、積乱雲の発生がフィリピン付近から西太平洋の赤道域にかけて多い
・ チベット高気圧は東側で強く、沖縄・奄美と東・西日本で温かい空気に覆われやすい
・ 日本の南にある太平洋高気圧の西への張り出しがやや弱く、北・東・西日本で低気圧や前線の影響をやや受けやすい