「だいふく」で情報リテラシーアップを 防災ニュース

2023年9月25日

<9月25日投稿>地震や台風など自然界が人間社会にもたらす脅威は、現象に対する防衛力により大きく変わります。近年は、ICTをはじめとするデジタル技術や情報通信技術の進展により、より早く現象の兆候をとらえて災害発生の予測を行うことにより、被害の最小限化を狙うようになってきています。

この取り組みを加速化させているのがモバイル端末による通信技術です。総務省の「令和5年情報通信白書」によると、モバイル端末の世帯保有率は97.5%に達し、そのうちスマートフォンは90.1%となっています。スマートフォンの普及により、情報の特性はマスメディアによる一律の発信から、ソーシャルメディアによる個人化へとシフトしました。特に、スマホアプリで個人がつながるSNSの浸透には目を見張るものがあります。令和3年度版情報通信白書では、全体で73.8%が普段から利用しており、デジタルネイティブと言われる20歳代は90.4%と、実に9割を超えています。

メディアの特性から情報の伝達速度をみると、新聞などの紙媒体が最も遅く、テレビなどブロードキャストの情報がやや早めで、Webサイトの公式メディアによる情報がそれを上回り、SNSなど個人発信の情報がさらに早いといえるでしょう。この情報の早さと反比例するのが情報の確かさです。災害時は、できるだけ早く状況を知ろうとして情報収集や情報発信を繰り返します。このとき、多様な価値観で限定された環境から情報を得る個人が発するSNSの情報には、誤ったものや意図と異なる部分が切り取られて拡散されるリスクがつきまといます。

例えば、熊本地震のときには、動物園からライオンが逃げ出したという情報が拡散されました。今から100年前の関東大震災時にも、「富士山が大噴火」や「朝鮮人が井戸の水に毒を入れた」など根拠のないデマが広がって暴動が起き、多くの在日外国人が殺されるなどの問題が生じたこともあります。こうしたデマは、悪意のある人が捏造して拡散するとは限りません。善意のある人がよかれと思って広めることも多いのです。

このような、意図しないデマ拡散の片棒を担ぐ行為をなくすため、情報リテラシーの向上には十分取り組みたいものです。情報を解釈するときには必ず個人の価値観や思い込みがどこかに入っていることを肝に銘じ、どんなに確からしい情報を目にしたときでも、情報の見極めを行いましょう。
ヒントとなるのが「だいふく」です。
・だ:誰が言ったのか(発信元、根拠となる情報源など)
・い:いつ言ったのか(発信されたタイミング、情報が確認された時期など)
・ふく:複数の情報を確かめたのか(情報の再現性、複数メディアでの言及など)

こうした情報リテラシーは、何度もトレーニングを受けて「目鼻がきく」状態になっていきます。ぜひ防災訓練の中に情報処理訓練を取り入れて情報収集/情報発信の基礎力を上げ、いざというときに適切な判断と行動がとれるようになっておきましょう。

防災ログ事務局:南部優子


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