雪への備えを 局地的な大雪に注意 防災ニュース

2023年12月21日

<12月21日投稿>年の瀬も押し迫って慌ただしい毎日ですが、冬の厳しさもいよいよ本格的になってきました。今冬はエルニーニョ現象が発生しているため、全体的には暖冬といわれていますが、気候変動が激しくなっている現在、平地などふだん降雪のないところで連続した大雪になるなどの局地的な雪害が発生するおそれが高まっています。

大雪をもたらす原因には、「日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)という、雪を呼ぶ気流のラインの発生による影響があります。JPCZは、朝鮮半島北部の山脈で二分された大陸の寒気が比較的暖かな対馬海流の上で合流することにより大量の水蒸気をまきこんで帯状の雲が発生し、寒気と相まって発達した雪雲になって日本海側に流れ込んでくる現象です。成り立ちは異なりますが、大雨をもたらせる線状降水帯の雪版、といったイメージでしょうか。
JPCZは短時間で一気に雪を降らせるため、雪対応に慣れているはずの地域でも処理が追いつかず、交通の乱れを生じさせたり、除雪ができなくなるほどの降雪や積雪になって建物が倒壊したりと、深刻な被害が発生する恐れもあります。2018年の雪害では、死者15名、重軽傷者310名、住家被害258棟と大きな被害が発生しました。山間部での倒木や積雪により孤立集落も発生し、高速道路では約1600台の自動車が立ち往生しました。そのほかにも、雪のシーズンには例年のように大規模な車両の立ち往生が多く発生しています。

このような状況を踏まえ、国が管理する道路については、大雪時に立ち往生しやすい場所など、集中的に優先除雪を行う区間(予防的通行規制区間)を選定しています。今年度は全国で231区間(約3,300km)にのぼります。

出典:国土交通省 大雪時の予防的通行規制区間 https://www.mlit.go.jp/road/bosai/fuyumichi/yukimichi3.html

近年の短期集中的な降雪では、道路の除雪作業を主体とした交通確保が難しくなっています。このため、道路は安全確保を第一として早めに(気象予報や積雪状況に基づき概ね3時間前を目安に)通行止め区間を決めることを基本とします。
大規模な車両の滞留を減らして通行止めになる時間をできるだけ短くすることにより、道路交通への影響を最小限に抑えるというわけです。

ドライバー側では、次のような点に注意し、雪に備えておくことをおすすめします。
●「冬の高速道路ガイド(安全チェックポイントマップ)」でスタックが発生しやすい場所を把握する
●移動前に天気予報、交通状況を確認する
●大雪が予測されるときは不要不急の外出を控える
●広域的な迂回や出発時間の変更など、運行計画を見直す
●冬用タイヤの装着とタイヤチェーンの携行(どちらか一方ではなく両方備える)

大雪が予想される場合、降雪の3日前から外出を控えたり広域迂回を促したりするアナウンスが出される予定です。通行止め予測区間、開始日時、迂回経路などの詳細情報は、1日前から6時間ごとに更新され、定期的に公表されます。
気象情報は事前に予報が出され、回避ができます。降雪・積雪に慣れていない地域も、慣れている地域も、対応力を超えた大雪になる場合を想定し、今から備えておきましょう。

防災ログ事務局:南部優子


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